20. 初期艦は電 〜電〜
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か疑いたくなる程の気の抜けた司令官さんの入室許可が聞こえ、私はドアを開くべくドアノブに手をかけた。
――フフ……コワイカ?
少しびっくりした。いつの間にか天龍さんのスゴミが子鬼さんの声になっていた。これは子鬼さんが天龍イズムを無事に受け継いだからかもしれない。そう思おう。
静かにドアを開き、執務室に入る。執務室には、いつもの席に司令官さんと大淀さん。そして……
「ロドニーさん……」
「フンッ……」
司令官さんの前にロドニーさんが立っていた。私の顔を見るなりツンとした顔でぷいっとそっぽを向いていた。まだご機嫌ななめなのかな。
「そうでもないぞ。今『イナズマが目を覚ましたぞ! お前もうれしいだろう!?』てめっちゃ笑顔で俺に報告してきたから」
「司令官……申し訳ないが張り倒していいか?」
「あら怖い」
なんだか出撃前には見られなかったロドニーさんの意外な面を先程から聞かされているなぁ……少しロドニーさんのことを面白いと思うようになってきた。
「ぶふっ……」
「何がおかしい?」
「ご、ごめんなさいなのです……ぶふっ」
「? ……まぁいい。私はこれで失礼する。……司令官」
「ほいほい?」
「中将閣下にありのまますべてを報告しても良いのだな?」
「うん。お願い」
「クソ・オブ・クソの称号の件も報告して良いのだな?」
「むしろもっとひどくしてもいいよ?」
「分かった。……では失礼する」
踵を返し、私の顔を見た途端に『フンッ』と鼻を鳴らしてロドニーさんは執務室から出ていこうとドアに向かって歩き始めた。私の隣をすれ違った時、私はロドニーさんに妙な違和感を覚えた。この人、こんなに背が小さい人だったっけ?
「ロドニー」
「なんだ?」
ドアノブに手をかけたロドニーさんに司令官さんが声をかけた。声の調子はいつもの感じ。だけど作戦前と比べると、ロドニーさんに対する棘のような感覚はなくなっている気がした。
「電にごめんなさいは?」
「必要ないだろう? 今回のイナズマの損傷は自業自得だ」
「ごめんなさいは?」
「だから必要ないと……」
「ご、め、ん、な、さ、い、は?」
司令官さんの死んだ魚の眼差しでジッと見つめられたロドニーさんの頭の上に、モジャモジャ線が出来上がっていく過程がハッキリと見えた。そのモジャモジャ線が消えないまま、彼女は私に振り返り頭を下げてきた。
「……イナズマ、お前を撃ってすまなかった」
「い、いや、あれは電が集積地さんをかばったからで……」
「……司令官、これでいいか?」
「電もロドニーのこと許してあげてね」
「ゆ、許すも何も……」
「あとロドニー。お前さん、思ったより小さいのね」
「何がだッ!?」
「色々と。でもいいじゃない
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