20. 初期艦は電 〜電〜
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血相変えて言ってたくせにさー」
「帰り道でも『死ぬなイナズマ! 私に仲間殺しをさせるな!!! 優しいお前を殺させるな!!!』って必死に電に話しかけてたクマ」
と天龍さんと球磨さんから余計なことを暴露され、一度こちらを振り返って思いっきり睨んだ後ドバンと音を立ててドアを閉じていた。ほっぺた赤かったけど。
あの戦いの顛末は、赤城さんと天龍さん、そして球磨さんが代わる代わる教えてくれた。私が気を失い、集積地さんが私に必死に話しかけている光景を皆が見たことで、自然と戦闘が止まったらしい。元々ロドニーさん以外のみんなが戦いたくない状況だったため、意外とすんなりと戦闘をやめたようだ。その後は赤城さんと中破していた戦艦棲姫さんの話し合いで互いに撤退することになったとか。
『アカギ! イナズマは!? イナズマは大丈夫なのか!?』
『きっと大丈夫。私たちが必ず助けますから』
『イナズマをたすけてやってくれ! 私が出来ることはなんでもする!!』
『なら、集積地さんもちゃんと傷を治してください。きっと電さんはそれが一番喜びますから』
集積地さんは自分も沈黙レベルの大ダメージを負っていたのに、それにも関わらず私のことを心配してずっと私に話しかけていたそうだ。最後まで私に付いて行くと言っていたそうだが、戦艦棲姫さんに必死に止められ、自陣に戻っていったらしい。ちぇ……こっちに来てくれればよかったのに……
「まぁそう言わずに……彼女も大怪我でしたし、怪我を治すならこっちじゃなくて深海棲艦さんの施設を使ったほうが彼女にはいいでしょう」
赤城さんが優しい笑顔で私にそう告げた。あれだけの激しい戦闘だったのに、双方共に轟沈はゼロ。被害は互いに甚大だったが、命まで失われなかったのが不幸中の幸いだったのかもしれない。
だけどよかった……私たちは誰も轟沈することなくさっきの作戦を乗り越えたんだ……集積地さんと殺し合いをすることにならなくてよかった……私たちが仲間の命を奪うようなことに……集積地さんが私たちの命を奪うようなことにならなくて、本当によかった……
――艦娘失格の駆逐艦
唐突に私の頭にロドニーさんの言葉がよぎった。
「電さん?」
「どしたー?」
「な、なんでもないのです……」
3人に私の動揺が伝わってしまわないよう、努めて明るく返事をする。唐突に思い出したロドニーさんのこの言葉は、私の気持ちを沈めるのに充分な質量を持っていた。
身体が無事にしっかりと癒えたところで、私はお風呂から上がった。お風呂上りの牛乳を飲んだ後、迷惑をかけた司令官さんに会うべく執務室に向かう。
「とんとん。司令官さん」
「電? いいよ入って」
「はいなのです。失礼するのです」
本当に私のことを心配していたの
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