475部分:第六十六話 獅子出陣その七
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第六十六話 獅子出陣その七
「ですから。行きましょう」
「もう手配してあるのか」
「はい、そうですが」
「いや、そこまで考えていなかった」
アイオリアはかなり戸惑った顔で述べた。
「そうだったな。それもあったな」
「まさかアイオリア様」
「オーストラリアへはどうやって行かれるつもりだったのですか?」
ダイダロスだけでなくダンテまで呆気に取られた顔になって彼に問い返した。
「ギリシアからオーストラリアまでは空か海でないと行くことはできませんが」
「まさか」
「そうだったな」
また言うアイオリアだった。
「陸からは行くことはできない場所だったな、オーストラリアは」
「アイオリア様ってまさか」
「そういうところは」
「あのですね」
ここで彼の後ろから出て来た者がいた。それは。
「あっ、ムウ様」
「どうしてこちらに」
「アイオリアの戸惑っている声が聞こえましたので」
それで来たというのである。
「実は細かい事務処理は私の担当なのですよ」
「そうだったのか」
ムウの言葉を聞いて大いに驚くアイオリアだった。
「それではこれまでの出撃の時も」
「そうだったのです。手配等は全て私がしていました」
今わかる衝撃の事実だった。事務関係やこうした細かい旅程といったものは全て彼が考えてそのうえで手配をしていたのである。
「特にアイオリア、貴方はですね」
「俺なのか」
「想像はしていましたがやはりそこまで考えておられませんでしたか」
ふう、と軽く溜息すら出す彼だった。
「オーストラリアは他の国からは空か海でないと絶対に行けませんから」
「それは知っていたが」
「知っていてもそこまでは考えておられませんでしたね」
図星だった。ムウの言う通りであった。
「そこまでは」
「実は」
「まあいいです。手配はしましたから」
これで話を終わらせるムウであった。
「ではオーストラリアへ」
「行って来る」
彼に対しては一言であった。
「これからな」
「御気をつけて」
いつもの微笑で送るムウだった。
「そして必ず」
「帰って来いというのだな」
「その通りです。では」
「それではな」
別れを告げて出陣するアイオリアだった。オーストラリアでの戦いが今幕を開けようとしていた。
第六十六話 完
2009・11・3
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