暁 〜小説投稿サイト〜
おぢばにおかえり
第三十七話 三年生なのでその九

[8]前話 [2]次話
「ただ一緒にいただけよ」
「絶対に認めないわね」
「だから何処がデートなのよ」
 こう言われることがとにかく心外です。
「私と阿波野君って先輩と後輩よ」
「それ以外の関係じゃないのね」
「そうよ、それだけよ」
「映画村でも一緒にいたじゃない」
「その時も一緒にいただけよ」
 阿波野君の方から勝手にやってきてです。
「それだけだから」
「その前からじゃない」
「阿波野君が入学してから?」
「それでもそう言うの」
「だって付き合ってないから」
 そんな意識は全然ありません、欠片一つもないです。
「そう言われるけれど」
「ないのね」
「全然ね、私はね」
 それこそとです、また友達に言いました。
「そうした考えないから」
「あらあら、あの後輩君が聞いたら泣くわよ」
「泣かないわよ」
 阿波野君がそんな風になるとは全く思えませんでした、あんな能天気な子は他にいないと思います。見たこともなかったです。
「あの子は」
「じゃあ彼に直接言える?」
「私が?」
「それ言える?」
「それは」
 そう聞かれるとでした、私にしましても。
 想像してみて戸惑ってです、友達に答えました。
「無理よ」
「でしょ?本人には言えないわよね」
「何か悪いから」
「そう思う相手ってことよ」
「阿波野君が」
「そう、けれどそう思うのならね」
 にこにことして私に言ってきます。
「まんざらじゃないじゃない」
「そうなるの?」
「まあどうしても一緒にいたくないなら別だけれど」
 私ににこにことしてまた言ってきました。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ