19. テキは友達 〜電〜
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「……イナズマか?」
十数人の子鬼さんに囲まれ、抹茶色のジャージを着た集積地さんは資材の山の中に座っていた。
「集積地さん……」
冷たく固い戦場の空気の中で、私は会いたかった人と再会できた。再会出来たけど……
「集積地さん」
「……フッ」
集積地さんは私と見つめ合った後、一度だけ見た覚えのある何もかもを諦めたかのような、今にも泣き出しそうな笑みを浮かべていた。『しゅうせきち』と書かれた名札をギュッと掴み、うつむいて肩を小刻みに震わせていた。
「イナズマ……」
「集積地さん……集積地さん!!」
たまらず集積地さんの名を叫び、彼女の元に向かった。主機をフル回転させ、ロドニーさんと戦艦棲姫さんの砲弾がとび交う海域を抜けようと前進したときだった。
「来るなッ!!!」
名札を握りしめてうつむいたまま、集積地さんが今まで聞いたこともないほどの激しい怒声を上げた。思わず立ち止まった私は集積地さんを見た。彼女は名札を力いっぱいギュッと握りしめ、肩で大きく息をしていた。
「集積地さん……電なのです……」
「ハァ……ハァッ……」
「会いたかったのです……会いたかったのです集積地さん!!」
「……殺すためか……殺すためにか?」
「違うのです!! 集積地さん違うのです!!!」
「何が違うんだイナズマ!!!」
戦艦棲姫さんの砲撃が止まった。『イナズマだとッ!?』と戸惑い、私の姿を確認しているのが見えた。
「このロドニーとの戦いの最中によそ見をするなッ!!!」
ロドニーさんのランスが吠え、徹甲弾が発射された。徹甲弾は正確に戦艦棲姫さんの元まで飛んでいき、彼女の肩にいる化物を一体、砕いていた。
「ぐうッ!?」
同時にロドニーさんの鎧の半分も砕け散った。戦艦棲姫さんは自身に徹甲弾が着弾する寸前、同じくロドニーさんに砲撃を行っていたらしい。その砲弾をロドニーさんはまともに食らったようだ。
「フッ……クフフフフ……」
「なぜだイナズマ……お前たちは……」
「面白い……面白いぞ戦艦棲姫……それでこそ深海棲艦だ……私は今充実している……」
「お前と集積地は友達ではなかったのか!? 友を殺しに来たというのかッ!?」
「良き敵だなぁ……貴公、良き敵だなぁあ!!!」
ロドニーさんも戦艦棲姫さんも、片膝をついてお互いが素直に心情を吐いていた。友達です……友達なのです……私と集積地さんは……。
戦艦棲姫さんの背後から、たくさんの戦闘機が飛び立ち始めた。背後にいるヲ級さんたちが発艦した艦載機のようだ。
「赤城!」
「はい!」
赤城さんと鳳翔さんの戦闘機たちが編隊を組んで応戦しはじめた。私達の上空で激しい制空権争いを繰り広げるお互いの戦闘機。赤城さ
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