19. テキは友達 〜電〜
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はいたるところが焼け焦げていたけど、『しゅうせきち』と書かれた私作の名札だけは無傷のままだった。そっか……さっきまでの集積地さんは、この名札を必死に守ってくれていたのか……だからさっきは、あんなに懸命にくぐもっていたのか……。
傷の痛みと胸の心地よさで、少し気が遠くなってきた気がする。集積地さんの声が、なんだか遠くから聞こえてきているような……少し聞こえ辛いような……
「集積地さん……」
「なんだ……イナズマ?」
「ごめんなさいなのです……許してほしいのです……」
今のうちに言っておかないと……なんだか後回しにすると言う機会がなくなってしまいそうな……それで後悔しそうな気がする。急いで集積地さんに謝った。
「何をだ……?」
「友達なのに……集積地さんと電は友達なのに……ごめんなさいなのです……」
自然と涙が出てきた。傷が痛いからじゃない。友達の集積地さんをこんな目に遭わせてしまった後悔と、信じていた友達にこんな目に遭わされた集積地さんの苦しみや悲しみを考えると悲しくて辛くて、自然と涙が出てきた。自分の涙が自分の傷に染みた痛みが、また痛くて……
「……なぁ、イナズマ?」
「はい……なのです……」
「私はまだイナズマのことを友達だと思っていて……いいのか?」
「はいなのです……ずっと、電の友達なのです」
「また……ぐすっ……また、マミヤで一緒にクリームあんみつ食べてもいいのか?」
「はいなのです」
「一緒にゲームをしてくれるか?」
「しゅうせきち会長に……キングボンビー……なすりつけるのです……」
「一緒に、ホウショウの味噌汁を飲んでもいいか?」
「はいなの……です」
ダメだ。そばで聞く集積地さんの声がとても心地よくて、瞼がとっても重くなってきた……なんだかすごく眠い。胸が温かくて心地いい。集積地さんの声が、子守唄のように耳にとても心地いい……
「また……こうやって……グスッ……手を繋いで、デートしてくれるか?」
「はい……なの……です」
集積地さんが、焼け焦げた私の髪を優しくなでてくれた。司令官さんのゴツゴツした手とは違って、集積地さんのすべすべな手はとても心地よくて、私の眠気をさらに加速させた。
「ありがとう……ありがとうイナズマ」
「ごめんなさいなので……す……ごめんな……さい……」
「!? 目を閉じるなイナズマ! 私を見ろ!! イナズマ!!!」
瞼がとても重い……そしてそれにつれて口も回らなくなってきた……でも謝らないと……瞼を開けてられない……集積地さんの声が遠い……。
「イナズ…!! イ……マ……!」
どうやら集積地さんは大声で私の名前を叫んでいるようだろうけど、すごく遠いところで叫んでいるように、とても耳に心地いい声にしか聞こえ
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