19. テキは友達 〜電〜
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んと鳳翔さんは新しい戦闘機を発艦させていた。
「……ッ!!」
「制空争いに気を取られていては勝機を逃すぞ戦艦棲姫!!!」
ロドニーさんの砲が火を拭いた。射出された徹甲弾が向かう先は、戦艦棲姫さんではなく、その背後にいるヲ級さんたちだ。
「……! 逃げろ!」
集積地さんが叫ぶのと、ヲ級さんの一体がダメージを受けたのはほぼ同時だった。血まみれで炎上し崩れていくヲ級さんの姿を、集積地さんは歯を食いしばって見つめていた。
制空争いは拮抗して終わったようだ。続いて戦艦棲姫さんたちの砲撃がはじまる。数えきれないほどの砲弾の雨あられが私たちに降り注いできた。
「クマッ!」
反応が遅れた私の盾になって、球磨さんが私の前に立ちふさがった。途端に球磨さんの艤装が火を吹き、単装砲が使い物にならなくなったようだった。
「球磨さんッ!」
「旗艦を守るのが随伴艦の役目だクマッ!!」
「ッざけんなテメーら!!! やめろぉオオ!!!」
砲弾の雨をかいくぐり、天龍さんが戦艦棲姫さんたちに向かって砲撃していた。ロドニーさんほどの威力はないが、それでも駆逐艦の人たちにダメージを与え、次々と駆逐艦の人たちが炎上していった。
「……ッ!!」
その様子を、集積地さんは歯を食いしばって泣きながら見ていた。炎上する仲間たちに向かって必死に手を伸ばし、なんとか助けようとしているように見えた。
やがて伸ばした手を力なくだらんと下げた集積地さんは、名札を握りしめるのを止め、うつむいて肩を動かしていた。
「フフっ……イナズマぁ……私が愚かだったよ……」
「集積地さん……違うのです……これは……」
「やはり敵は敵か……友達になれたというのは、私の夢だったのか……」
「違うのです! 集積地さんは電の友達なのです!!」
「ならばこれはなんだ!!」
集積地さんが顔を上げ、私を見た。私が大好きなブルーの瞳からは涙がボロボロと溢れ、私を睨みつけていた。私への憎しみや怒り……集積地さんに黒い感情をダイレクトにぶつけられ、私は言葉を発することが出来なくなった。
「……」
「私は言ったはずだ! こいつらは大切な仲間だと!! お前と同じぐらい大切な仲間だと!! 言ったはずだ!!!」
「……ッ」
集積地さんの周囲の子鬼さんが臨戦態勢を整えだした。メキメキという音とともに口から一度魚雷を生やし、再度口の中に引っ込め……一人、また一人と海上に足を踏み入れた。
「ならば私が取る道はひとつだ……」
「「ギギギギ……」」
子鬼さんたちの口から、キリキリという魚雷の発射準備が整う音が鳴り響く……違うのです集積地さん。電は集積地さんの友達なのです。
「PT子鬼!!! やつらを沈めろ……ここまで来た
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