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ep.025 襲撃者
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仁は雨の中、傘をさしながら宛もなく歩き回っていた。
"後悔先に立たず"とはまさにこの事なんだろう。
あの時、佳奈に伝えていれば幾らかは役になっていたんだろうか。
『ごめんな.....佳奈。』
雨は止むことなく、むしろどんどん強くなって仁の足音すらも聞こえなくなっていく。
まるで、存在を失っていくようだ。
しかしその雨音は次の瞬間消えた。
激しく荒れる雨音が静寂に包まれ、寒気を感じる。
周辺は濃い霧に包まれて見えなくなる。
「捕まえた。」
異様に冷たい死神のような声が聞える。
全身の毛が逆立ち、凍り付きそうなほど冷えた汗が仁の頬をつたって落ちていく。
右肩にやけに嫌な違和感を感じて振り返るべきではないことを瞬間的に察する。
『何者かに掴まれている........一歩の身動きも許されない.....動けば........。』
「ほう、分かってんじゃねぇか....まぁ、殺すがな。」
その言葉で仁は最低限の抵抗をするために、不意打ちのように走り出した。
死神のような気配は動かず、距離を取る。
振り向いて正体を見た。
「初めまして......だな。」
「アンタは誰だ!」
仁は多少落ち着いたとは言え、まだ内心動揺していて、言葉から焦りが抜けきっていない。
「俺は死神だ。 禁忌に触れたお前を狩りに来た。」
死神はマジックのようにフィンガースナップをする。
すると霧が溶け、再び雨が降り始める。
その瞬間、仁は相手が能力者であることを理解した。
「どうやって俺を追跡したんだ。」
「あぁ、そのことか...お前、数日前に死体を見たな。」
「っ!!」
人の頭の中はその言葉で高速回転を始める。
録画したビデオを高速で逆再生するように巻き戻す。
そして、確信のつくシーンで急に正常になる。
第三者の視点に切り換わり、幽体離脱したかのように証拠となる光景を見ていく。
『あれは....USB!?』
死体が握り締めていたUSB。
そして、それを携帯に接続した際に感じた強い静電気のような反応。
「思い出したようだな。」
死神はポケットから何かのレーダーらしき物を取り出すと、仁の方に投げた。
そこには赤く点滅する点とその点の座標が載っていた。
そして、その座標から点が自分だと理解する。
「GPSだよ。」
「どういうことだ?」
「お前はUSBの接続と同時に携帯にウイルスを入れ、ウイルスはそのタイミングでその端末の機能の一部の権限を奪いGPSを起動させてお前の居場所を俺達に常時送っていたのさ。」
死神は再びフィンガースナップをする。
すると今度は雨が氷の礫になる。
それは傘に穴を開けながら、先ほどの雨のよう
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