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第七話
第七話 ペットの餌その二
博士は数日研究所に篭もっていた。そしてある日やっと外に出て来た。
「出来たぞ!」
「あれ、まだやってたんですか?」
「生きてたんだ」
「飲まず食わずで」
「おい君達」
博士は小田切君とタロ、ライゾウのぞんざいな言葉に少しムッとした。
「やけに冷たいな、おい」
「だってなあ」
「ああ」
それを聞いてタロとライゾウが顔を見合わせて言う。
「いてもいなくても変わらなかったし」
「むしろいない方が平和だったよね」
「生活費はどうしておったのじゃ」
「たった数日ですよ、博士」
小田切君がそれに述べる。
「それで困るってことはありませんよ」
「ううむ」
「それに小田切さん普通の発明できるし」
「博士の発明って絶対国際指名手配ものだからね、日本にいられるのが不思議だよ」
「悲しいのう」
博士は小田切君と二匹の犬猫の言葉に首を横に振って嘆いた。
「天才が理解されぬとは」
「天災の間違いじゃないの?」
「言えてる」
「まあとにかく博士」
小田切君がここで話を進める為に声をかけてきた。
「どんなものができたんですか?」
「一言で言うと天才の発明じゃ」
「わかるか?」
「いいや」
タロとライゾウはそれを聞いてまた言い合う。
「これさえ食べれば万事解決じゃ」
「万事って博士」
小田切君にも博士の言葉の意味は理解不能であった。
「何言ってるんですか?」
「だから究極の餌じゃ」
「あの、何言ってるか全然わからないんですけど」
「だよなあ」
「遂にボケたかな」
「やかましいわ!とにかくこれを食べればだな」
ライゾウのボケという言葉に異様に反応してきた。何かあるのだろうか。
「巨大化するし人間並の知能も持てる!」
「巨大化ってどれ位ですか?」
「全長五十七メートル、体重数百トンのな。鼠でもじゃ」
「そんなの開発してどうするんですか、一体」
「面白いじゃろうが」
博士の返答はかってない程滅茶苦茶なものであった。
「街を派手にぶっ壊してだなあ」
「通報すっか?」
「どっちにしろ結果同じだからいいんじゃね?」
タロとライゾウがヒソヒソと話をしている。またしても博士の世界を巻き込みかねない大騒動がはじまろうとしていたのであった。
第七話 完
2006・8・8
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