■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆ラストバトル
第六十六話 共闘
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が戦闘不能のプレイヤーを守っている間に、動けるプレイヤーすべてがボスの周りを取り囲んで、攻撃を浴びせていた。
攻撃に回っているプレイヤーが10人足らずと非常に少人数だったため、非常に時間がかかったが、ようやくボスのHPがレッドゾーンに突入した。攻撃がさらに苛烈になったため、攻撃に回っている者の中にはHPを危険域に落とし回復のために下がらざるを得ない者も多い。ヒースクリフはまだ一度も回復のために下がっていないが、すでにHPは残り2割ほどに減っていた。いつの間にか彼は不死身の存在ではなくなっていたのだ。
ヒースクリフの攻撃にも焦りが見え始め、機械のような精密さが失われつつあった。ボスのHPがレッドゾーンに入ってからは彼も攻撃に参加していたが、そのため防御が少々おろそかになっていたようだ。ヒースクリフとミドリの間の空間を、ボスの遠隔攻撃が抜け、背後のシリカに襲い掛かった。
回復待ちをしていたシリカが、その攻撃を回避しようとしたが、追尾性能が高く避けられそうにない。防御しようにも、短剣は戦闘中の武器防御で破損している。体術スキルで相殺しようとしながら、彼女の顔は絶望に染まった。近づく攻撃は突属性なので、壊属性の体術スキルでは相殺できない。
絶体絶命のシリカの前に、マルバが躍り出た。殺撃で突属性攻撃をつかみ取ろうとするが、不安定な態勢のため衝撃を殺しきれない。マルバははるか遠くまで吹き飛ばされ、地面にたたきつけられた。一度跳ねた身体が、空中でゆっくりと光に包まれた。彼のHPバーが消滅した。
青いポリゴンの破片が飛散する。
それは、ひとつの命がまた失われつつあることを意味していて。
――シリカの思考が加速した。マルバが死ぬことなど、あってはならない。役に立つかもしれない知識がすさまじい速さで浮かんでは消えた。かつてミズキから教わった科学知識も頭をよぎる。
ナーヴギアはヘルメットの内側に埋め込まれた、大量の信号素子から電磁波を出力することで、脳細胞に直接情報を流し込んでいる。
ナーヴギアによる脳破壊は、この電磁波を最高強度で流し込むことで、電子レンジと同じ原理で脳内の水分子を振動させ、焼き切る仕組みだ。電子レンジと同じく、水分を十分な温度まで上げるのにはしばらくの時間がかかる。
……つまり、すでに脳破壊が開始された彼を助けるために、まだ幾ばくかの時間が残されている可能性がある!
ヒースクリフとミドリは、シリカがいつの間にか目の前に現れたことに一瞬驚いた。それはボスモンスターも同じだったようで、近距離の攻撃対象をシリカへ移動する一瞬、動きが鈍る。シリカはその一瞬にすべてをかけていた。短剣はすでにない。彼女の右手が赤く閃き、流れるように次々と技が放たれていく。舞い散る花々のように、様々な色が飛び散り、跳ね
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