第二十二話 大学その三
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「学問は何でも学ぶべきなのだ」
「異教のものでも」
「それでも」
「古の学問もだ」
それもというのだ。
「東方の学問もな」
「学問ならばですか」
「全て学ぶべきですか」
「それが身になるからこそ」
「だからですね」
「そうだ、異教の学問は進んでいるものが多い」
太子はこのことも指摘した。
「それを学ばずしてどうする、そして敵のことを知ることにもなる」
「むしろ学ぶべきですね」
「異教のことも」
「そうだ、敵を知ることにもなる」
またこのことを指摘した太子だった。
「そこから敵を倒すことにもなる」
「あの異教徒の帝国を」
「あの国を」
「あの国は神の国を信じる国を全て合わせたよりもだ」
さらにというのだ。
「強い、だからな」
「それで、ですね」
「彼等を知ることですね」
「短所だけでなく長所も知る」
「それが大事だからこそ」
「そうだ、重要なのだ」
まさにというのだ。
「それで何故だ」
「異教の学問も学ばずして」
「どうするかというのですね」
「相手の長所も短所も知る」
「そうしなければ」
「意味がない、そして長所をだ」
異教徒達のそれをというのだ。
「我々が身に着けずしてどうする」
「それでは勝てない」
「異教徒達には」
「それ故に」
「マイラ様のお考えは」
「あらためねばならない」
こう言ってだ、太子は。
今は茶ではなくだ、コーヒーを飲んだ。そしてこうも言った。
「このコーヒーもそうだな」
「異教徒達が飲んでいますね」
「他ならぬ彼等が」
「しかし美味い」
「それも非常に」
「妃はこれも拒んでいる」
太子が今美味く飲んでいるそれもというのだ、かぐわしい香りも楽しむつつ飲む太子だったがマイラはその味も香りもというのだ。
「法皇庁も然りだ」
「あちらもですね」
「コーヒーを拒んでいますね」
「あちらも頑迷だ、いや」
法皇庁についてはだ、太子は顔を顰めさせて司教とオズワルド公にこう話した。
「自分達は美味いと思えば楽しむが」
「それでいて、ですね」
「信者達には口にするなと言う」
「それは異教徒達のものだと言い」
「そうして」
「口にすれば異端とする」
これがどういう意味かは言うまでもなかった。
「それが法皇庁だ」
「自分達は贅沢の限りを尽くし」
「財宝と美食と美女に囲まれ」
「そのうえで、ですね」
「信者達には質素を強要しますね」
「そうだ、この世の富を全て集めてだ」
それによる贅沢を楽しみつつだ。
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