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Three Roses
第二十二話 大学その一

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                 第二十二話  大学
 マリーは暫くぶりに姉であるマイラと王宮の中庭で会う時間をもうけることが出来た、マイラが席で飲むものはこの時も同じだった。
 ごく普通のワイン、そのワインを飲みつつだった。マリーと共にいた。
 マリーはその姉にだ、自身は三色の薔薇の花びらを入れたワインを口にしつつこう言った。
「実は考えていることがあるのでしょうか」
「それは」
「はい、国にです」
 この国にというのだ。
「今以上に大学を築くべきかと」
「大学をですか」
「様々な学問を学ぶ」
「そうですね」
 妹の言葉を聞いてだ、マイラも言った。
「学問は多くの者が学ぶべきです」
「はい、そう思いまして」
「学問は優れた人材を育てます」
「姉上もそうお考えですね」
「その様ですね、では」
「はい、それでは」
「大学はこれまで以上に多くです」
 マイラはマリーにさらに話した。
「置くべきです」
「この国に」
「そして多くの人材を育てましょう」
「その通りですね」
「では共に王に申し上げましょう」
 マイラは表情のないまま妹に答えた。
「明日にでも」
「では」
「そしてです」
 マイラはマリーにさらに言った。
「図書館もですね」
「そちらもですか」
「築きましょう」
「かつて古都にあった様な大図書館を」
「それを築き」
 そしてというのだ。
「古今東西の書を集めましょう」
「私も実は」
「そう考えていますか」
「その通りです」
 マリーは微笑んで姉に答えた。
「実は」
「そうですか、では」
「このことも共に」
「王に申し上げましょう」
「是非共」
「そしてそのうえで」
「この国を学問でも栄えさせましょう」
 是非にとだ、マリーはマイラに言った。
「私達二人で申し上げて」
「そうしましょう、明日にでも」
「早速」
「では、しかし」
「しかしとは」
「大学で学ぶ学問ですが」
 マイラはマリーにこのことについても言ってきた。
「それは」
「信仰に基づいた、ですか」
「そうです」
 その通りという返事だった。
「そうでない学問はです」
「あってはならないと」
「そうです」
 マイラの返事は淀みがなかった、まさに何の迷いもない。
 それでだ、マリーにさらに言うのだった。
「異端の学問を学んではなりません」
「異教の」
「異教は言うまでもなく」
「同じ神を信じていてもですか」
「異端の信仰です」
 異端審問官達が主張している様なだ、それはというのだ。
「それはあってはなりません」
「そうですか」
「大学は多く築かれるべきです」
 マイラはあらためてこのことについて言った、この考えはマリーと同じだった。
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