18. 開戦 そして再会 〜電〜
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「永田町の艦隊が露払いをしてくれるそうだ。我々は資材集積地に一直線で向かえば、それでいい」
私たち第一艦隊と共に出撃したロドニーさんからそう言われ、私達は一直線に作戦海域へと向かった。『露払い』。そう言えば聞こえもいいだろうが、実際には私たちの退路を塞ぎ、集積地さんたちを倒さざるを得ない状況に持っていくという、中将さんの思惑としか私には思えなかった。
「赤城さん鳳翔さん、念の為索敵機を出してほしいのです」
「わかりました」
「はい」
赤城さんと鳳翔さんに、念の為の索敵機を出してもらうようお願いしたのだが……二人とも表情が沈み気味だ。作戦内容を考えれば無理もないことだけど……二人が放った索敵機は、綺麗な編隊飛行で周囲の索敵に入った。
この作戦に参加したのは、私と赤城さん、天龍さん、鳳翔さん、球磨さん……青葉さんを除いた鎮守府のいつもの面子が揃っている。そして、永田町鎮守府から私たちの監視役として合流したロドニーさんだ。
「なー電ー」
「はいなのです?」
「お前さ、平気なのか?」
やる気のない天龍さんが、私に近づいてきて話しかけてきた。いつもなら出撃の際はやる気に満ちあふれている天龍さんも、今日ばかりはまったく覇気がない。まるでいつもの司令官さんのようだ。
「これからさ。集積地と天龍二世たちを殺しに行くんだぜ?」
「……」
「お前は出撃しないと思ってたよ俺は。お前と集積地が仲よかったの知ってるからさ」
「はいなのです……」
「でもさ、お前意外とすんなり旗艦を引き受けたじゃねーか」
平気なはずがない。『お前の友達を殺せ』と言われて、平気な人などいるはずがない。
でも、私は司令官に『切り札』だと言われた。そして『思ったようにすればいい』とも言われた。きっと司令官さんは、何か考えがある。詳しくは何も話してくれなかったが、事態を好転させる何かを司令官さんはまだ隠している気がしてならない。
みんなが諦めきっていたあの状況の中で、司令官さんだけはまだ希望を持っていた。ならば私は出来ることをしよう。集積地さんと戦うことなく、命を奪うこともなく……そして私たち自身もひどい目に合わないために、司令官さんを信じて出来ることをするだけだ。
「電は、司令官さんを信用してるのです」
「……ハンッ。おめでたい話だ……」
心底呆れ返ったように天龍さんはため息をついて鼻を鳴らしていた。
私たちの頭上を、一機の偵察機が素通りしていく。周囲の索敵をがんばってくれているようだ。
「電さん!」
私達の戦列の最後尾にいる赤城さんの声が聞こえた。深海棲艦さんたちの艦隊が見えたのか?
「前方に深海棲艦の艦隊を発見しました。駆逐ハ級が1、軽巡ホ級が1です!」
「数が少ないので
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