18. 開戦 そして再会 〜電〜
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「受けたのが私だったからこの程度で済んだが……これが現実だ」
「……」
「いい加減に幻想は捨て去れ。でなくば貴公や艦隊の仲間に危険が及ぶ」
「……」
言いたいことを言い終わり気が済んだのか、ロドニーさんは再び兜のバイザーを閉じたあと、踵を返して前進をはじめた。
私は、動くことが出来なかった。もしロドニーさんがかばってくれなかったら、私は今の一撃で轟沈していたのかもしれない……返す言葉がなかった。
「……ほら、行くクマよ」
戦列の後部にいた球磨さんが、私の手をひっぱってくれた。
「あ、ありがとうなのです」
「別にいいクマ」
球磨さんに手を引っ張られ、体勢を崩しながらもなんとか進軍についていく私。最後尾にいる赤城さんと目が合った。
「電さん!」
「は、はいなのです!」
「提督があなたに何を託したのかは分かりません。でも、提督に切り札と言われたあなたを私達は信じますから!」
「……!」
「だから胸を張って! 旗艦らしく、堂々としていてください!」
赤城さんはまっすぐに私を見て、そう言ってくれた。そしてまるで赤城さんの言葉を体現するかのように、その背後からは偵察機が一機、ブウンと前方に向かって飛び立っていった。
「……赤城」
「はい鳳翔さん」
赤城さんの横にいる鳳翔さんの顔つきが変わった。二人の周囲の空気が変わったことを私は感じ取った。作戦海域が近いのか……。
「電さん。目標、発見しました!」
「念の為に戦闘機を発艦させます。赤城、やりますよ」
「はい!」
赤城さんと鳳翔さんが、全く同じ動きで矢を放った。放った矢は戦闘機の編隊となり、私たちの周囲を旋回しはじめる。周囲の温度が下がった。空気が痛い。これは戦場の空気だ……集積地さんと友達になってから今までずっと感じる機会のなかった戦場の空気になったことを、私は悟った。
「皆、そろそろ警戒しろ。私からも敵艦隊が見える」
最前列にいるロドニーさんが私たちにそう告げた。天龍さんの目が鋭くなり、球磨さんのアホ毛がビンと立ち上がった。天龍さんと球磨さんはこれまでずっとやる気がなかったのに……やはり戦場の空気を感じると意識が変わるのだろうか。
「電」
「はいなのです」
「やべーぞ。お前は何も感じねーか?」
さっきまでのやる気のなさが感じられない天龍さん。奥歯をギリギリと噛み締め、前方に次第に見えてきた深海棲艦さんたちの艦隊を睨みつけてるようだった。
「な、何がなのです?」
「……殺る気満々だぞ、あいつら」
「……」
天龍さんがサーベルを抜き放った。
「……そっちがその気なら黙っちゃいないクマ」
球磨さんはアホ毛をうにうにと動かしながら、指をバキバキと鳴らし
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