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テキはトモダチ
18. 開戦 そして再会 〜電〜
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す」
「『露払い』を受けて逃げてきた敗残兵かもしれません!」
「だったらあえて戦わなくても……」

 私が前方に発見した深海棲艦さんたちとの戦闘を避ける指示を出そうとしたその時だった。前方からドカンという砲撃音が聞こえた。今まで聞いたこともないような、とても大きな砲撃音だ。

「え!?」
「砲撃!?」

 慌てて前方を見る。ロドニーさんのランスの砲塔から煙が上がっていた。先ほどの砲撃音は、どうやら彼女の砲撃らしい。私は急いでロドニーさんの元に向かい、彼女を制止した。

「ロドニーさん!」
「なんだイナズマ。前方にいる敵艦なら今攻撃したぞ」
「戦わなくていいのです! 相手はきっと逃げてるだけなのです!!」

 前方のはるか先の方に、2人の深海棲艦さんが見えた。一人はすでに轟沈しかけている……。

「ここまで来てまだそんなことを言うか?」
「いいのです! 無理に撃沈しなくても……」
「イナズマッ!!」

 不意にロドニーさんが私に肩でタックルしてきた。あまりに突然のことで私は身を守ることが出来ずにもろにそのタックルを受けてしまい、バランスを崩してそのまま海面に倒れこんだ。

「おい! なにすんだテメー!!」

 天龍さんが私の様子を見て隊列の後方から私たちにそう吠えたが……次の瞬間。

「ガッ……」

 何かに弾かれたかのようにロドニーさんの頭がぐらつき、兜から『ガキン』という音が鳴っていた。

「え……」

 慌てて再び前方の深海棲艦さんを見る。まだ轟沈してない駆逐ハ級の砲塔がこちらを向いていた。ハ級の砲撃が彼女の頭に命中したのか……。

「……フンッ」

 ほんの少しグラついたロドニーさんだったがすぐに持ち直し、ランスの砲塔をハ級に向け砲撃を敢行していた。先程も聞いたドカンという強烈な砲撃音と共にランスから三式弾が発射され、その花火のような砲弾は満身創痍のハ級にさらに追い打ちをかけていた。

「ロドニーさん……助けてくれたのです?」

 ロドニーさんが振り返り、私を見た。バイザーを上げ青く鋭い眼差しを私に向けると、彼女は前進をやめて私に近づき、私の手を取って立ち上がる手助けをしてくれた。そのスキに2人の深海棲艦はなんとか距離を取って離脱したようだ。

「あ、ありがとうなのです……」
「礼はいらん。旗艦を守るのは随伴艦の役目だ」
「は、はいなのです……」
「それよりも……まだ敵はトモダチなどと甘っちょろいことを考えてるのか」

 ロドニーさんの鋭い眼差しが私の胸に刺さってくる。彼女の兜には、先ほどのハ級の砲撃でついたらしい、痛々しい傷がついていた。その傷を自身の左手でコンコンとつつき、私に傷のアピールをしてきたロドニーさんに睨まれ、私は身動きが取れなくなっていた。

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