53部分:第五十二話
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第五十二話
第五十ニ話 博士の決意
魔女っ子達が博士の相手をすることがわかった。小田切君はそれを聞いて博士に対して言う。
「遂に魔女が来ますよ」
「うむ」
しかし博士は車椅子に座って平気な顔をしている。
「そうじゃな」
「そうじゃなって博士、平気なんですか」
「よいではないか」
車椅子で鞭をもてあそびながら答えている。いつもの調子だ。
「敵がいればいる方がいい」
「いいんですか」
「わしを誰だと思っておる」
いきなりまた変なことを言い出した。
「天才科学者じゃぞ、人類の未来を変える」
「人類の未来を木っ端微塵にしてですか」
「言ってくれるな。違うわ」
「そうじゃないんですか?」
小田切君の声は相変わらず醒めているものである。それが実に対称的だ。
「違うわ。人類に試練も与えているのじゃ」
「それでその試練を与えた結果なんですが」
小田切君が言っているのはそれなのである。
「どうするんですか?本当に」
「魔女とな」
「さっきから言ってるじゃないですか」
「面白いではないか」
その顔に不敵な笑みを浮かべてきた。
「魔女が相手とは。わしも妖術は嗜んでおる」
「妖術までやっていたんですか」
「無論じゃ」
博士は答える。
「それもあるしな。それにわしは何と言っても科学じゃ」
「それでその科学で」
「魔女達を退けてみせよう」
おもむろに立ち上がった。そこで宣言する。
「よいか小田切君」
「はあ」
嫌々なのが見事にわかる返事であった。
「わしは相手が誰であろうと背は向けぬ」
「そうなのですか」
「だからじゃ」
彼は言う。
「いつ何時でもな」
「戦うんですね」
「うむ」
大きく頷く。
「だからやるぞ」
「勝つんですね」
「わしに敗北と不可能の文字はない!」
豪語であった。マントが部屋の中で翻る。
「よいな!」
彼の新たな戦いがはじまった。だが恐れてはいない。博士とクラウンの戦い、それはどちらが勝つのであろうか。今その幕が開こうとしていた。
第五十ニ話 完
天本博士の怪奇な生活 完
2007・1・10
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