第7章 聖戦
第155話 再召喚
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た時には頭の中で会話の流れの組み立てを終えた俺。
そして、
「私は何時、王太子として選ばれたのでしょうか?」
鷹揚に首肯く爺さんに対して、意味不明の問い掛けを行う俺。
尚、公式に俺が王太子に選ばれたのは去年の夏以降。しかし、この場で想定している答えはコレではない。
「殿下が王太子に選ばれたのは正に生まれ落ちた瞬間。ジョゼフ陛下の長子として生まれ落ちた瞬間、祝福と共に神によりこのガリアの王太子として選ばれたのです」
想定通りの答えを返して来る総大司教の爺さん。
そう、これが正しい。設定上の俺はこの世界に生まれ落ちた瞬間から王太子であった。ガリア王国は男系男子の長子が相続するのが基本。それ以外は、矢張り国が乱れる可能性があるので普通は行わない。
それはつまり……。
「私はブリミルの神官に因って聖別されたから王太子となった訳ではなく、生まれ落ちた瞬間から王太子だった」
意図の見えないやり取りに、少しざわつき掛けた鏡の間に良く通る俺の声が響く。
そう、これは所謂、王権神授説。牛種の影響が強い、更に封建制度下の世界なら、この考えは通用するはず。
「今回の件も同じ。もし、神が異世界へと流された私が再びこの世界へと帰還する事を望まないのなら、シャルロットに因る召喚は失敗していた事でしょう」
それ以外にも、神の代行者と自称しているロマリアの言い分を信用するのなら。もし神が本当に聖戦を起こして聖地を奪還する事を望んでいるのなら、その聖戦に参加していないガリアにはたちどころに神罰が下るはず。
そこまで台詞が進んだ後、かなり強く意識をしながら、しかし、至極自然な様子で総大司教やジョゼフの方向に向けていた身体を本当に話し掛けなければならない相手。……この場に集まっていたガリア貴族たちの方向へと向ける。
「しかし、現実にはガリアも、陛下も。そして私も何の神罰を受ける事もなく、この場に存在している」
その方向。白衣と緋袴を身に纏った少女の後方に存在していたのは――
「いや、私たちだけではない」
高価な布地。このハルケギニア世界では東洋との交易がエルフにより妨げられている為に、この時代と対応する中世末から近世初めに掛けてのヨーロッパよりも更に希少と成っている絹を使用した夜会服。タバサや長門有希たちが社交界に登場してより一種のムーブメントを起こしつつある真珠を多く使用した首飾りや指輪。その身を飾る物品の価値が即ち、彼ら自身の身分の高さを表現するかのような存在たち。
このハルケギニア世界を支配するごく一握りの存在。貴族……ガリアに存在する二種類の貴族の内、ここに集められたのはおそらく生まれながらの貴族。帯剣貴族たちを相手に、少し芝居がかった雰囲気でそう続ける俺。同時に生成する龍
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