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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第155話 再召喚
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、更に言うと他者の発する雑多な気を強く感じて仕舞う俺に取っては、少しだけ苦手意識を持つような場所でもあった。
 しかし、そう感じた刹那!
 凄まじい衝撃。逆巻く風。発生する雷光。虚無に支配された世界で俺の前に顕われた光に向かって意識を飛ばして因り以降、少しずつ曖昧な形で回復しつつあった五感が一気に明敏化。それまで周囲を支配していた虚無、混沌がある種の秩序によって集束して行く。
 しかし同時に発生する、そのあからさまな演出に対して少し皮肉な笑みを口元にのみ浮かべる俺。
 そう、これは演出。確かに、異世界の地球からこのハルケギニア世界に現われると言う事は、厳密に言うのなら無から有を発生させたと言う事なので、この世界に対して何らかの異常な現象を起こしたとしても不思議ではない。
 その場に存在しているありとあらゆる物質を押し退けて、本来、この世界には存在しない……ハルケギニア世界に由来しない物質が突如発生したのですから、其処に爆発に等しい現象を起こす可能性があるとは思う。
 しかし、現在起きている現象は俺が起こしている訳でもなければ、世界に発生した歪みを補正する為に自然と発生した現象でもない。

 これはおそらくデモンストレーションだと思う。周囲に発生している現象からは、何らかの魔法が行使されている気配……。しかし、ハルケギニア世界特有の系統魔法とは違う魔法の気配を感じて居る。おそらく、呼び出された使い魔……今回の場合は俺がハルケギニアで普通に召喚されている使い魔とは違う……と言う事をギャラリーたちに対して簡単に理解させる為の箔付け。

 この雷光は真っ当な生命体なら即座に黒焦げにされても不思議ではないレベルの雷でしょう。更に、周囲に渦巻く風も、人体を簡単に引き裂き兼ねない猛烈な風である事も事実。
 おそらく、この場に集められているハルケギニアの一般的な貴族たちならば、自らの系統魔法で再現出来る最大の旋風や雷撃と比べて、ここに発生している風や雷の凄まじさを肌で感じているのでしょう。
 この場に召喚された存在が普通の使い魔とは違う存在だと言う事を。
 しかし、木行に属する多くの存在の中でもトップに君臨する霊獣――青龍の俺に取ってこの程度の風や雷では被害を受ける事はない。そもそも雷に至っては、自らの霊気へと簡単に変換させる事が可能な木行の気の塊でしかない。

「畏み 恐み 申す」

 聞こえて来ていた召喚の呪文……と言うよりも、これは間違いなく神道の祝詞。それもおそらく日本語で唱えられていた祝詞が終わった瞬間、過剰なまでに為されていた演出が終了。その一瞬の静寂。虚無しか存在しなかった世界から、霊気に満たされた、しかし、風が巻き、雷が吼える……などと言う混沌に満ちた空間を経て、少しざわついた雰囲気ながらも、人界の理の支配する周囲の様子を確
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