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第五十話
第五十話 署長の秘策
博士によりものの見事に壊走させられた警察と自衛隊、それを率いる署長は今復讐の念に燃えていた。
「見てらっしゃい!」
彼女は燃える目で言う。
「今度こそは!」
「今度こそはいいですけれど」
それに周りのスタッフ達が応える。彼等は大なり小なり怪我をしている。署長自身もあちこりにバンドエイドを貼っているという無残な有様だ。
「どうするんですか、あんなの」
「本当に正義の味方でも呼ばないと」
「そうね」
だがその言葉が署長の心の琴線に触れてきた。
「その手があったわね」
「その手って」
「正義の味方を使うんですか?」
「ええ」
署長はその言葉に頷いてきた。
「それよ、その手があったじゃない」
明るい笑顔で述べる。
「いい?」
彼女はスタッフ達に対して言う。
「向こうが科学で来るならね」
「はあ」
「何か科学か何かわからないですけれどね」
それを言ったらおしまいではあるが。それでも言ってしまった。
「こっちは魔術よ。科学には魔術ね」
「ですか」
「しかし魔術と言っても」
まさか署長が魔術を使うとは思わない。彼女は元々自衛隊では技術幹部である。魔術とはまた別の系統なのである。どちらかというと博士に近いであろう。
「知り合いがいるのよ」
「知り合いですか」
「そうよ」
にこりと笑って応えてきた。
「幼馴染みのね。彼女に連絡を取って」
「正義の味方をスカウトですね」
「そういうこと。とにかくあの博士は放っておくわけにはいかないから」
これは政府の方針である。もっとも明治政府もそんなことを言っててに負えなかったのであるが。日本軍でも太刀打ちできないから相当な相手である。
「止めてもらうわ」
「止めてもらうんですか」
「自衛隊と警察が」
「それでもよ」
署長は憮然とした顔で述べる。
「やるしかないじゃない。いいわね」
「まあそうですけれど」
「さてさて」
彼等は口々に言う。
「どんな正義の味方が出て来るか」
「マ○レン○○ーだといいんだけれどな」
「それかお○○○女六人とかね」
そんな話をしていた。話は意外な方向に進むのであった。
第四十九話 完
2007・1・9
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