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第四十九話
第四十九話 悪夢の本番
サイボーグが動きだした。まずはおもむろに拳を振るう。
「うわっ!」
それを受けて忽ち数人が吹き飛ばされる。しかし攻撃はそれで終わらない。
何か得体の知れない電流を放ってきた。それが周りの人間を攻撃する。
「な、何だこいつは!」
「う、鰻か!?」
ここで彼等はようやく気付いた。
「まさか」
「電気ウナギか、あれは」
それを聞いて小田切君はふと呟いた。
「あのサイボーグ」
「そうだったのか、あれ」
「そう言われてみれば顔が」
タロとライゾウもそれに気付いた。
「そんな感じだよね」
「けれど美味そうじゃないな」
ライゾウの感想は実に猫らしい。だがそれで話が収まるわけではなかった。
その電流が景観も自衛官も次々と薙ぎ倒していく。署長までがそこに倒れ伏してしまっていた。
「こ、高圧電流を放つなんて」
署長は何とか顔だけをあげながら博士に対して言う。もう顔も制服もボロボロになってしまっている。
「まさかとは思ったけれど」
「ははは、ドクター○ルの影響じゃ」
「貴方に良心はないわよね」
そう書くと本当にその狂気の科学者そのままになるがその方が博士らしいと言えば博士らしい。
「良心!?食えるのか、それは」
博士は真顔でそれに問い返してきた。
「聞いたことのない言葉じゃが」
「ま、まさか本気なんて」
「署長」
自衛官の一人が何とか起き上がり彼女に声をかけてきた。
「ここは撤退しましょう」
「けれど」
「仕方がありません」
その通りであった。死者こそ出ていないものの壊滅的状況であることは事実だったからだ。この場は博士の完全勝利であった。
「わかったわ」
軍人は退くことも大事である。彼女は今決断を下した。
「総員撤退です」
「了解」
皆彼女の言葉を受けて下がる。重傷者を多数出した悲惨な退却であった。
博士はそれを見送りながらサイボーグの横で高笑いである。心底嬉しそうであった。
「愉快愉快」
「いいんですか、博士」
そんな彼に天井裏から下りてきた小田切君が声をかける。
「大変なことになりますよ、あんなことしたら」
「ふむ、楽しみじゃな」
「楽しみじゃなって」
何かまた嫌な予感がしてきた。
「さあ警察よ来るなら来い」
またいらん闘志を燃やしてきていた。
「誰が来ようと破ってやるわ」
「やっぱりこうなるんだな」
小田切君の溜息は終わらない。彼の苦悩はまた続くのであった。
第四十九話 完
2007・1・3
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