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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三話 キフォイザー星域の会戦(その1)
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背負う物も重くなる一方だ。此処には両軍合わせて十五万隻、千五百万を超える兵力が集まっている。そして俺の命令一下、生死を賭けて闘うことになるのだ。
士官学校時代が懐かしい……。あの頃は無邪気にシミュレーションで優劣を競うだけで良かった。自分の指揮で兵が死ぬという事を悩まずにすんだ。そして戦場に出てからは無茶な命令を出す上級司令部を罵るだけでよかった。だが今は自分がその上級司令部なのだ、誰を罵る事も出来ない。
ヴァレンシュタイン司令長官もメルカッツ提督も、そしてローエングラム伯もこの重さに耐えてきたのだろうか、耐えられ続けるものなのだろうか? そして俺は……。ミュッケンベルガー元帥の事を思い出した。元帥の威厳溢れる姿と心臓を患ったこと……。
「敵軍、イエローゾーンを突破しつつあります」
微かに震えを帯びたオペレータの声が戦闘が間近である事を告げた。艦橋の空気はさらに緊迫する。余計な事は考えるな! 今は勝つ事だけを考えるのだ!
「敵、完全に射程距離に入りました!」
「撃て!」
俺の命令とともに数十万というエネルギー波が敵に向かって突進していった。そして同じように敵からもエネルギー波がこちらに向かってくる。辺境星域の支配権を賭けた戦いが始まった……。
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