第12話『造られし者〜対峙した時代の光と影』?
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「ほ……本当に……あの男は『神に守られている』のか!?」
一人の人間が、背徳心に苛む声色で、目の前の現象に戦慄した。
突然の落雷。猛然と広がろうとする炎の煙幕。愕然と降り注ぐ木材の瓦礫。
それらは、この異端の渦中である凱とガヌロンを囲むように、存在を構成していく。部外者を取り除くかのように。
おかげで、凱は炎の甲冑という拘束刑から解放され、炎の中でたたずむ小さな魔人を見つける。
相対する両者。人でなければ、誰にも邪魔されない完全な隔離世界。
先に口を開いたのはガヌロンだった。
「何故だ……何故貴様はこの『時代』に現れた?」
絶望に打ちひしがれるような声で、ガヌロンは説いた。神々の天運に守られていると思わせる、獅子王凱に。
「……」
対して、凱は何も語らない。ガヌロンの言っている意味が分からないという点もあるが、何より、凱にとっても、この小人の存在は何より脳髄を刺激してならない。
「代理契約戦争の罪滅ぼしのつもりか?子供たちに英知を授ける……餌を嗅ぎまわる狂獅子王から民を護る……くだらぬ。そのようなことで干渉は変わらない。貴様の存在は意味を変えられぬ」
「もういい!!」
凱はガヌロンの言葉を遮った!
それは、自分の整理しきれない気持ちをごまかすような仕草でもあった。
「答えろ!お前……お前達の目的を!」
今更何を聞いている?そんな侮蔑を込めて、ガヌロンは凱を見据えた。てっきり『お前達』というものだから、我と我等の目的を諭していると思ったではないか。しかし、凱の理解はそこまで追いついていない。実際、『魔物に関する知識』は初代ハウスマンの書の受け売りでしかないのだから。
「我等の目的は、我等の世界の復活。それだけだ」
代わって答えたのは、突如として上空から現れたローブを纏いし老人だった。まだ自己紹介もしていないから、凱に名前は分からない。何より、フードに覆われているから、その顔ははっきりと見えない。そして、テナルディエ公爵に竜を貸し与えた人物であることも、凱は知らなかった。
しかし、ガヌロンはこのローブの人物を知っているかのようだった。
「ヴォジャノーイが世話になったな。『銃』よ」
「ちっ!情報検索!」
魔物の存在を、いち早く認識する。
かつて大東京決戦時、地球外知生体EI―01の交戦記録を掘返したように、左手のGストーンを活性化させて情報を引き出す。
「ドレカヴァク!ヴォジャノーイと同じくする、7体いる内の魔物の1体か!?」
「いかにも」そう短く凱に返答する。それは、否定しない意味表示だ。
「何故、お前達は俺を『銃』と呼ぶ!?『弓』との関係は!?」
「黒き弓弦……『弓』
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