第12話『造られし者〜対峙した時代の光と影』?
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こ、これが最後の甲冑……『炎熱にて、敵と味方を見分ける兜』です」
しかし、ガヌロンは却下した。
「その必要はない!『兜』の代わり、このまま頭を握りつぶしてくれる!」
竜の頭を砕くガヌロンの人ならざる握力。このまま凱を絞頭刑に処するつもりだ!
「あ……ああ!」
凱の呻きが漏れる。
吊荷のようにあげられた再、余計に肌と甲冑が密着する。押し付けられる不快な感覚に、凱の素肌がさらに焼け焦げる!
「どうだ!!!まだこれでも減らず口を叩けるかあぁ!!」
体内の興奮剤が、確かな怒りとなってガヌロンの握力を底上げする!
周囲に逃げた観衆を、凱は睥睨して一喝した!
「俺は知っているぞ!覚えているぞ!誰が!何を!俺にした事を!」
視界は旋回する。
「お前は!俺の右手に篭手をはめたな!」
視界は右を移す。
「お前は!左手だな!」
視界は左を移す。
「お前は、『流浪者に勇者がいてたまるか』といったな!」
次々と吐き出される凱の言葉。凱に神秘性を見出した兵士たちは、離れたところで武器を構える。
「か……閣下……!!」
「そ……その手を放してください!」
「その男を殺したら……神々の天罰が下る!」
ガヌロンではなく、今度は凱への恐怖におののく。
「真に受けるな!戯言だあ!」
さらに、握力が強まる!脳みそをこねられるような不気味な感覚に、凱は戦慄を覚える!それでも凱はくじけず叫ぶ!
「お前達!真実を受け入れろ!俺は『神に守られている』!!見たはずだ!俺こそ炎の武具を纏いし真の勇者だという事を!」
ブリューヌ侵攻教義を唱え続けることで、炎の甲冑の激痛を受け入れて、凱は自らを超越意識同調状態へ誘導した。
神と意識を同調する。それこそが、ブリューヌとジスタートが信仰する神々からの力の源だったのだ。
「ガヌロン様!」「閣下!」
さらに兵士たちは武器を取り、弓を弾く。その相手は異端の凱ではなく、主であるガヌロンだった。
「まさか貴様等……私に逆らうのか!?」
「当たり前だ!『公爵』と『神』では選ぶまでもないからな!」
ガヌロンの疑いを、凱が指摘する。
「また……減らず口を!!!!!!」「がああああああああああ!!」
魔人の絞頭刑に勇者の断末魔が木霊する。それに呼応するかのように、蒼穹を塗りつぶした雷雲が、役者達を覆い始める。
――それはまるで、第二幕目に登場する為の色直しのように――
――天を裂くばかりの雷鳴はやがて――
――天崩せし黒雲から雨粒と雷禍を処刑台に向けて、まるで両者を狙い撃ちするように降ってきた――
◇◇◇◇◇
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