第12話『造られし者〜対峙した時代の光と影』?
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よ……天空のゆりかごにて、子供達を見守る神々よ……」
それは、偽りなき神への祈り。呪われし炎熱の鎧へと挑む勇者の文言であった。
◇◇◇◇◇
兜以外の甲冑をはめ終えて、見物人たちの熱は徐々に冷めていった。なぜなら、対象者たる凱の反応は薄れていっているからだ。
グレアスト、ガヌロン、その他の審問官は休憩を取っている。それに合わせ、上層部はいずれ燃やし尽いていく凱の監視を外させ、グレアストのように休憩を取らせている。
一室の窓から覗き込むグレアストは、感心したかのような口ぶりで、凱に評価する。
「以外としぶといな。本当に兜までいくかもしれん」
生命と引き換えに兜を装着する。そうしたら、このブリューヌの墓標に名前くらいは残してやろうかと、グレアストは思う。
日中が南中高度を示すころ、兵士の一人が凱の様子を覗き込む。
「もう流石に死んでるだろ?こんなに時間をかけられるなんて思わなかった」
「そういうなよ。あとはこいつをゴミ溜めに放り投げればオレ達の仕事は終わりだ」
監禁兵のいう『ゴミ溜め』とは、ブリューヌ法王庁の下にある、異端者用の死体遺棄置き場の事である。異端刑の後始末は、彼らにとって面倒な仕事の一つである。
虫の息同然の凱を覗き込んだ瞬間、監禁兵の一人は『凱の不可解な行動』に腰を抜かした。
「な!なんだあの男は!」
一人の男は絶句した。
「祈祷だ!祈祷を唱えている!」
釣られて他の男も覗き込む。そして同じく凱の『神性』に戦慄する!
――太陽と光の神……ペルクナスよ――
――戦いの神……トリグラフよ――
――大地の母なる神……モーシア――
――家畜の神……ヴォ―ロス――
――風と嵐の女神エリス――
――豊穣と愛欲の女神ヤリーロ――
――我は……あなた方に称賛し、感謝し、忠誠し、誓約せし者――
「あ……ああああ!!!」
「信仰教義を唱えている!?」
「何!?……そんな馬鹿な!?」
ぞろぞろと処刑台へ駆けあがる兵士たち。凱を囲むように現れた兵士たちは、全員そろって凱の唇に耳を傾ける。
――死を間近にした人間は、生に足掻こうとして狂乱奇となるというが、この男は……――
早速報告を受けて、処刑台へ駆けつけたグレアストは息をのむ。
――あなたのみに……崇め遣える……――
間違いない。この男は知っているのだ。ブリューヌ信者とジスタート信者が共有する精神構造を。
「天上に住まう神々は、真の勇者に痛みを与えないと聞くが
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