第12話『造られし者〜対峙した時代の光と影』?
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炎熱の業火吹き荒れる中。鉄ばさみにて、身を護る部位を凱に装着させていく。
「ぐっ!!!」
確かな熱を帯びた鉄は、赤みを帯びて凱の右腕に装着される。
密着する肌と鉄に熱層が生まれ、凱の肌を焼きこがす。
「あああああああ!!!」
凱の呻き声が、グレアストの自虐心を煽り、次々と甲冑をはめさせる。しかし、凱は苦悶の声を上げても、根は上げていないようだ。それがかえってグレアストの高揚心を高める結果となる。
新しい玩具を与えられた喜びを、グレアストは覚えた。次は何をはめようか。次は何処にはめようか。そのような歪んだ好奇心が目まぐるしく回る。
瞬く間に、篭手と具足は装着され、そして胸甲をはめられた。
「ウオオオオオオオオ!!!!」
獣のような叫び声で、凱は身動き取れない体で暴れた。その体を蝕む炎熱が、凱の神経を、自由を奪っていく。まるで、自分の身体が炎の悪魔に乗っ取られていくような錯覚に苛んでいく。
――ナゼ……オレハスクワレナイ――
(……この声は……ジャック……ストラダー?)
代理契約戦争の残党。ジャック=ストラダー。
彼はシーグフリードに救世を求む心を利用され、独立交易都市の競売イベント『市』の魔剣強奪事件における中心人物であった。
残された指を使い果たし、悪魔契約を唱え、自らの血肉を捧げて、彼は炎の悪魔……いな、悪霊と化した。
戦争の主犯と迫害を受けていた彼もまた、このような苦しみを受けていたのだろうか?
いや、比べてはならない。
今こうして、炎の甲冑を纏っている事より、炎の悪霊に取り付かれていた彼のほうが、死にきれない苦しみを受けていたはずだ。
最後、ジャック=ストラダー凱の心の優しさに触れて、救われたのだ。
――ガッツィ・ギャレオリア・ガード……GGG憲章・第5条125項!――
――GGG隊員は、いかに困難な状況に陥ろうとも、決して諦めてはならない――
――だから、俺は、こんなところで終われない――
――今の俺のように、言われなき異端の烙印と――
――ティグルのように、理不尽な叛逆の不名を押されて―−
――それ以外にも、何人も冤罪を着せられて――
――何年も何年も苦しんできたはずだ。――
そう自分に何度も言い聞かせ、凱の離れかけた意識は、何とか肉体と結びつく。
――まずはガヌロンをおびき寄せる――
そっちが異端扱いするなら、異端でないことを証明させればいい。それは言葉ではなく、態度でもなく、人間性でもない。
人を超越した何か。すなわち、『神性』
熱で乾燥した唇を動かし、空気を震わせる。唇をかみきって、自分の血で喉を潤す事忘れずに。
「か……神々
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