5部分:第四話
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
に入れられていた。
「そうなのじゃ、困ったことに」
博士は牢の中で座り込んでいた。困った顔をして小田切君に答えた。
「困ったことにな」
「そりゃ当然ですよ」
「当然とな」
「だって、あの電気鞭でしょ」
「うむ」
「あんなの持って外に歩いてたらそりゃ捕まりますよ」
「困ったことじゃ」
「まあ署長には僕が話しておきましたので」
「出られるのじゃな」
「はい。それで鞭は」
「何、それなら心配ない」
「どういうことですか?」
「スペアもあるしの、それにあれは」
「はい」
「リモコンで動くのじゃ。だからすぐにわしの手に返って来る」
「リモコンで」
「左様左様、じゃから何の心配もいらんのじゃ」
「けれど。警察に押収されてるんですよ」
小田切君は付け加える。
「そんなことしたら」
「何、替え玉は用意してある」
「替え玉」
「普通の鞭をな、置いておくわ。それならばれんじゃろう」
「普通のなんてまずいに決まってるじゃないですか」
「普通の電気鞭じゃよ」
「電気鞭に普通かそうかなんてあるんですか!?」
「百万ボルト程度じゃ。それならばれんわ」
「けれど博士」
小田切君の疑念は尽きない。
「それも申請とか許可とかないですよね」
「それが大したことか?」
「やれやれ・・・・・・」
「では帰るか。今日はキスの天麩羅じゃ」
結局博士は博士だった。なおこの鞭は無事博士の手に戻り今でもその手にある。時たま酔って好き勝手に振り回したりすることもある。それもまた小田切君の頭痛の種であった。
第四話 完
2006・7・15
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ