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おぢばにおかえり
第三十七話 三年生なのでその八

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「私だけで」
「後が続かないわよね」
「そう、だからね」
 まさにそれで、です。
「理は続けないといけないから」
「そこよね」
「お婿さんが来てくれないと」
「そういえばちっちあの子はどうしたの?」
「あの子って?」
「なじ大教会の一年生の」
「阿波野君?」
 誰かすぐにわかりました、そして。
 私は自分の顔がみるみるうちに不機嫌なものになっていくのがわかりました、その顔で友達に対してこう言いました。
「変なこと言わないでよ」
「ってことは」
「そうよ、ないわよ。というか何であの子の名前が出るのよ」
「だって最近よく一緒にいるじゃない」
「気のせいよ」
「気のせいじゃなくて普通に学校でもおぢばでもいるじゃない」
 一緒にというのです。
「この前も二人で回廊拭きしてお墓地行ってたんでしょ?」
「あれはたまたまよ」
 本当にそうでした。
「たまたまでね」
「何もなかったの?」
「なかったわよ」
 完全否定で返しました。
「ただ一緒に回廊拭きしてお墓地にお参りして詰所でお別れしただけで」
「それだけ?」
「皆が最近言うようなことはないわよ」
「そうなの、けれどね」
 友達は私の言葉を聞いてもそれはそれ、といった感じで返してきました。
「それってデートじゃない」
「何でそうなるの?」
「ずっと後輩の彼と歩いて一緒にいたのよね」
「それだけよ」
「そのそれだけがね」
 まさにというのです。
「デートじゃない」
「どうしてそうなるのよ」
「そうなるわよ、とにかくね」
 また言った彼女でした。
「ちっちそれデートだから」
「そうなの」
「そうよ、というか自覚ないの?」
「いや、デートじゃないから」
 私はこのことははっきりと断りました、というかどうしてそうなるのかお話をしていて不思議で仕方がありませんでした。
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