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Blue Rose
第三十一話 街を歩きつつその三

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「くれぐれもね」
「姉さんがいなくても」
「龍馬君がいなくてもね」
「そういえば龍馬はすぐにわかったね」
 優子が龍馬の名前を出したところでだ、優花も応えた。
「悪い人かどうか」
「あの子はそうしたことがわかる子だから」
「人を見る目があるんだね」
「よく言われることだけれど目ね」
「目?」
「そう、人は目でわかるっていうわね」
 優花のその澄んだあどけないいい意味で少女らしい目を見つつの言葉だ。
「澄んだ目をしている人はいい人でね」
「悪い人の目は濁ってるんだね」
「そう言われるわね」
「濁った目の人は危ないのね」
「そう、気力も出るから」 
 目にはというのだ。
「元気な人は目の光が強いのよ」
「疲れてる人は弱くて」
「そうなの」
 まさにというのだ。
「だから目を見てね」
「人を見るには」
「目は口程にものを言うともいうし」
 俗に言われる言葉である、だがその通りであろう。
「私も同級生の男子で屑と言うしかない奴がいたけれど」
「その人の目は濁ってたんだ」
「この前スーパーで偶然擦れ違ったらチンピラの目だったわ」
「チンピラの?」
「服装もね、絶対に碌な奴になってないと思っていたら」 
 その性格からだ、悪質な性格の持ち主はそのまま成長すれば悪質な人間になるものだ。その性格が人生を形成するからだ。
「本当にそうなっていたわ」
「姉さんの予想が当たったんだね」
「悪いことにね」
「その人そんなに酷かったんだ」
「学年きっての嫌われ者だったわ」
「そこまで嫌われるだけの人だったんだ」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「本当にね」
「そんな人だったから」
「そう、チンピラみたいになってたわ」
「悪いことをして生きてるのかな」
「間違いないわね」
 その外見から察する限りはというのだ。
「会っても無視したし」
「その人を」
「私のことはわかったらしくてちらりと見てきたけれど」
「無視すべき人だったから」
「そうしたけれどね」
「じゃあ僕も」
「あまりにも悪い人とは付き合わないことよ」
 また言った優子だった。
「いいわね」
「ええ、姉さんが神戸でいつも言ってた通りね」
「そうしてね」
「その人の目を見て」
「やっていってね」
「そうしたことも人生なのね」
「そうよ」
 その通りだとだ、優子は一言で答えた。
「だから注意してね」
「それじゃあね」
「いつもね、それとね」
「それと?」
「楽しむことは楽しんで」
 こうも言ったのだった、優花に。
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