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テキはトモダチ
17. 旗艦は電 〜赤城〜
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れるわけがないでしょう……!」
「……でもよ……」
「だからどうか……どうか、こらえなさい……ッ!」
「鳳翔さん……でもよぉ……」
「天龍さん……!」
「あいつさー……俺の二世ってさー。俺の真似してくれてるんだぜ? 俺のことカッコイイって思ってくれてるんだぜ?」
「……」
「おれが冗談半分であげた眼帯もずっとつけててさー……俺のセリフまで真似してさー……そんなやつ殺すなんてかっこ悪くて出来ねーよ……!!」

 天龍さんはポロポロと悔し涙を流しながら、ぽつりぽつりと心情を吐いていた。その様子があまりに痛々しいためか、鳳翔さんは天龍さんの首に手を回し、右手で天龍さんの頭を撫でながら必死に天龍さんをなだめている。

「天龍さん……」
「くそッ……あいつらと戦うなんて出来るわけねーだろ……そんなかっこ悪ぃ姿、あいつらに見せらんねーよッ!!」
「私だって辛いんです……あんなに美味しそうに私のお味噌汁を飲んでくれる人と、戦わなきゃいけないんですから……」

 鳳翔さんもまた、天龍さんの頭をなでながら気持ちを押し殺しているようだった。

 皆の士気が最悪のこの状況を、電さんは呆然と見ていた。ロドニーさんが電さんの横に来て、彼女の肩にポンと手をおいた。

「イナズマ」
「は、はいなのです」
「これは貴公が招いた結果だ。貴公が集積地棲姫の命を助けたが故、全員の士気が下がり戦うことが出来ず、余計な嫌疑をかけられた。この状況下で出撃すれば、全員の命が危うい。本来なら出撃は避けるべきだ。しかし出撃せねば貴公たちに未来はない」
「……」
「貴公の優しさは私も好きだ」
「……」
「だが現実は見据えろ。さもなくば次に命を落すのは貴公だ」

 辛辣な言葉を電さんに浴びせるロドニーさんだが、聞いている私も耳に痛い言葉だった。確かにこの状況は、電さんが集積地さんを助け鎮守府に連れ帰らなければ、起こり得ない状況だった。

 そして、それを許した私たちにも責任はある。あの時……電さんが集積地さんを助けると言い出した時、私達が全力でそれを止めていれば……電さんの甘さをキチンと諌めていれば、こんな辛い事態にはならなかっただろう。このような辛い作戦を強制されることもなく、いつものように出撃し、いつものように深海棲艦たちを追い払い、いつものように毎日を過ごしていただろう。

 言ってしまえば、この状況は私たちの自業自得といえる。私たちが好き勝手に過ごしてきた結果が今なのだろう。ひょっとすると、この状況は私たちに与えられた罰なのかもしれない。艦娘の本分を忘れ深海棲艦と友情を育んでしまった私たちに課せられた、贖罪なのかもしれない。

 だがそれでも。

――フフ……コワイカ?

 大切な相棒であり、同じ一航戦の名前を与えた子鬼さんと戦い
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