17. 旗艦は電 〜赤城〜
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知らんけど』って無視してたクマ」
「……」
この命令を拒否すれば提督は反逆罪で銃殺刑……私達は良くて解体処分になるかもしれないということを球磨さんは知らない。
「司令官は当事者ゆえ答え辛いだろう。私が代わりに答えてやる」
「……」
事は全員に関わる。故に全てを話したほうがいいという判断なのだろう。見かねたロドニーさんが提督に代わり、球磨さんに答えていた。
「まだ公ではないが……現在、司令官と貴公たちには反逆罪の容疑がかけられている」
「……」
「少なくとも永田町の中将閣下はそう考えておいでだ」
「ほーん……そういうことクマ」
「今回の出撃命令はいわば、貴公たちに与えられた最後のチャンスと思っていただいていいだろう」
ロドニーさんを見る球磨さんの目が険しい。怒りが爆発しそうなのを押し殺しているようだ。涼しい顔でそれを受け止めるロドニーさんに対し、球磨さんがぶつけている怒りが赤黒いモヤ状になって目に見えた。
「……提督」
「ん?」
「本当クマ?」
「うん。いわば俺達は、ケツに火がつけられた状態なのよ」
「……悪かったクマ」
提督と私達が置かれた状況を理解出来たのか、球磨さんはそういって退いた。
一方、もう一人の軽巡洋艦はまだ納得がいかないようだった。先ほどから、天龍さんの方からギリギリという小さな歯ぎしりの音が聞こえていた。天龍さんが額に青筋を立てて歯を食いしばっている。
「……わりぃ提督。俺ちょっくら行ってくるわ」
「どこ行くの?」
「永田町」
思い立ったように天龍さんは踵を返し、部屋から出て行こうとした。左手が腰にあるサーベルに添えられている。……目を見ると据わっている。さっきまでの球磨さんとは別の方向に怒りの矛先が向いたようだ。
鳳翔さんがドアの前に立ちふさがった。天龍さんが何をやろうとしているのか鳳翔さんも気付いたのだろう。天龍さんを行かせまいとドアの前に立ってまっすぐに天龍さんを見据えており、その目は矢を射るときのように鋭かった。
「……なんだよ」
「何をするつもりですか」
「邪魔すんじゃねぇ。いくら鳳翔さんでもぶった切んぞ」
「何をするつもりなのか言いなさい。言わなければここは通せません」
「……中将引きずり出して、ぶん殴ってここまで連れてきて土下座させる」
「……」
「あのクソ野郎……泣いて謝るまで殴って殴って殴り倒してやる」
「……」
「言ってやったぜ。早くどけよ」
「……出来ません」
「鳳翔さんよぉ……どいてくれよ……行かせろよ!!!」
不意に、パシンという平手打ちの音が鳴った。天龍さんの左頬を鳳翔さんが叩いたようだ。呆然としている天龍さんの両目に、少しずつ涙がたまってきていた。
「そんなこと……させら
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