17. 旗艦は電 〜赤城〜
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く見えた。
「……ロドニーさん、意外と身体が小さいんですね」
「というより、装甲のせいで一回り大きく見えるだけだ。身体の保護のため、身体と鎧の間に空間が出来るように大きめに作ってある」
「なるほど」
「だから案外としぶとく生き残れる」
「ですが、戦闘中はキレイな身体の線が台無しですね」
「おかげで世界一醜い姉妹艦と揶揄されているがな」
「今のあなたにはあてはまらないでしょう……」
「……自分の美醜に興味はないが、礼を言っておこうか。ありがとう」
ロドニーさんと他愛無い話をしながら執務室の前まで来た。ロドニーさんが扉をノックし、中にいるはずの提督に声をかける。
「とんとん。司令官。ロドニーとアカギだ。入室許可をいただきたい」
「はいよー。そのまま入ってー」
中から聞こえてくる提督の声がいつもの調子に戻っていることに安堵していると、ロドニーさんがドアノブを握りしめたまま、眉間にシワを寄せている。
「……?」
「……どうしました?」
「……いや。テンリュウはこの鎮守府に在籍してるか?」
「してますが?」
「そうか……いや、いい」
ロドニーさんの頭の中にも、天龍さんの『フフ……怖いか?』は響いたようだ。この扉はもうこの鎮守府の名所みたいなものだと考えておこう。
ドアを開く。中にはすでに件の天龍さんだけでなく、球磨さんと鳳翔さんもいた。部屋の中央の席にはいつものように提督がいて、その横では大淀さんがいつもの席で慌ただしく資料の束を次々ホッチキスで束ねている。
電さんは……まだ来てない。
「すまん。遅れた」
「いや大丈夫。まだみんな来たばっかりだから」
ロドニーさんの謝罪に対し、提督はいつもの柔らかい口調でこう答えていた。続いて再びドアが開き……
「……みなさんごめんなさい。遅れてしまったのです……」
驚いた……電さんがとことこと執務室に入ってきた。彼女はもう立ち直ったというのか……。
「電さん……」
「あ、赤城さん! 昨日はありがとうなのです!」
「もう大丈夫なんですか?」
「はいなのです。平気じゃないけど……でも、落ち込んでばかりはいられないのです」
少し赤く腫れた目のまま、そう言って電さんは私に微笑んでくれた。私は、彼女を見誤っていたのかも知れない。彼女は私が思っていた以上に、タフなメンタルを持っているようだ。よかった。
そして電さんがこの場に顔を見せたのはロドニーさんにとっても朗報だったようだ。彼女の顔も心持ちホッとしているようだった。昨日はあれだけ電さんを追い込んだロドニーさんだったが、それも彼女を気遣う優しさゆえの言動だったのだと、改めて実感できた。
そして提督。彼は電さんの顔を見るなり、一瞬だが口角を上げていた
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