17. 旗艦は電 〜赤城〜
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に轟いた。聞いている私たちの耳に圧力を感じるほどの、強烈な怒りが篭った声だった。私の身体から怒気と膂力を抜き取るには充分すぎるほどの衝撃……それはロドニーさんも同じだったらしく、彼女の腕から力が抜け、電さんの手を離していた。電さんの身体がグシャリと床に崩れ落ち、彼女は途端にぐすぐすと鼻音をたてて泣き崩れていた。
『うう……ひぐっ……集積地さん……』
呆気にとられた私達には目もくれず泣きながら何度も集積地さんの名を呼ぶ電さんのそばまでやってきた提督は、その場に腰を下ろし、電さんの頭を優しくくしゃくしゃと撫でた後彼女の左肩に右手をポンと置いて、いつもの調子に戻って電さんに声をかけていた。
『……電、今日はもう休みなさいよ』
『ひぐっ……司令官さん……電は……ッ!!』
『……赤城』
急に名を呼ばれ、なぜか全身の血液が逆流した。提督の声に対し、私の本能が警鐘を鳴らしているようだ。身体に力が入らない。私の防衛本能が、彼との接触を避けろと必死に叫び続けている。……私の全身は、提督に対し恐怖を覚えていた。
『……はい』
『電を部屋まで送ってちょうだい』
『……わかりました』
『頼むよ。もし電が落ち着かないようなら、一晩ついていてあげて』
『了解です』
そう言う司令官の目は、いつもの死んだ魚の眼差しではなかった。
それが昨日。私はその後、電さんを部屋に送り届けてそのまま泣き続ける電さんと共に一晩過ごした。電さんは最後は泣き疲れて眠ってしまっていた。そして今日はまだ姿を見ていない。
そういえば、ロドニーさんはあの後も執務室に残っていた。提督と話をしていたそうだが……提督に何か言われたのだろうか。
「ロドニーさん」
「ん?」
美味しそうにサンマを食べるその箸を止めたロドニーさんは、感情を読みづらい表情を私に向けた。昨晩から彼女の意思はどうも読みづらい。
「昨晩はあの後、提督とどのような話をしたんですか?」
「……大した話はしていない」
「へぇ……」
お櫃のご飯を空になったお茶碗によそう。ついでにロドニーさんもおかわりがほしそうに見えたので、彼女のお茶碗を奪い去りご飯をよそった。
「感謝する」
「いいえ」
「……イナズマの様子はどうだった?」
「あなたのおかげで最悪です。あのあと電さんは憔悴しきってましたよ」
「……貴公たちによって戦えない艦娘にされてしまったイナズマが不憫だ。今のままでは、確実に戦場で命を落とすことになる」
ロドニーさんはそう言いながら、私からお茶碗を受け取っていた。勝手なことを……そこまで追い込んだのは他ならぬ彼女自身だというのに。
しかし、半分はロドニーさんが言いたいことも分かる。
電さんは敵の撃沈すらためらうほど優し
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