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テキはトモダチ
17. 旗艦は電 〜赤城〜
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『敵を倒すことだ。そして我々にとって敵とは……』

 不意に、ドカンという大きな音が鳴った。以前に天龍さんがドアを壊しかねない勢いでノックをし壮大な破壊音が執務室に鳴り響いたことがあったが、今の音はそれ以上だ。

『ちょっと。ロドニー』

 口を開いたのは提督だった。彼の右手が拳を握り、自身の机の上で力を込めてギリギリと握りしめていた。先ほどのドカンという音はどうも提督が机を打ち鳴らした音のようだ。

 提督は普段から穏やかだ。故にこんなに大きな音で周囲を威嚇したことはない。唯一怒りを顕にした先ほどですら、その言葉遣いこそ汚く激しいものだったが……声の調子はいつもの穏やかな提督のそれだったというのに。

『……なんだ司令官』
『俺のかわいい初期艦になにしてくれとるんよ』
『敵を友達だなどとのたまう艦娘失格の駆逐艦に、再教育をしているところだ』
『……』
『優しいのは結構だ』
『……』
『だがな。戦場でそんな世迷言を言っていては、命を失うのは本人だ』
『……』
『私は仲間の死を見たくはない。故に再教育をしている』

 電さんの手を握るロドニーさんの手に力がこもり、ギリギリという音がここまで聞こえてくるようだった。電さんは泣きながら必死にロドニーさんの手を振りほどこうと抵抗していたが、ロドニーさんに力で叶うはずもなく、その抵抗はまったくの無駄に終わってしまっている。ロドニーさんは、少しずつ電さんの両手を上に釣り上げている。次第に電さんはロドニーさんの拘束に対し、抵抗出来なくなっていった。

『うっ……クッ……』
『イナズマ、集積地棲姫は友達だと言ったな』
『は、放してほしい……の……です……!!』
『奴は深海棲艦だ。貴公の命を奪う敵だ。友達ではない。幻想は捨て去れ。さもなくば、貴公や仲間が命を落とす事となる』
『やめなさい!』

 もう黙っていられない。私は電さんを拘束するロドニーさんの両手に手をかけた。彼女を組み伏せ身動きが取れない状態まで追い込むために、彼女の左手に私の右手をからませた。

『邪魔をするなアカギ……ッ』
『これ以上電さんに危害を加えるようなら……私も容赦はしません……ッ!!』
『その甘さが戦場でイナズマを殺すということになぜ気づかんッ!? 貴公たちはイナズマの仲間ではないのかッ!!』
『仲間です! 大切な仲間です!! だから彼女の意思を尊重しているんです!!』
『その大切な仲間を緩慢に殺していることに貴公たちはなぜ気づかんのだッ!』

 彼女の腕の力は凄まじく、私が全力で彼女の左腕を折りにかかっているのに、それでもなお電さんを離さない。私が全霊をかけてロドニーさんの左肘関節を逆に曲げようと力を加えたその時だった。

『やめないかッ!!!』

 提督の怒号が執務室
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