第58話 最低
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君のDNAマップを提供してもらえないだろうか?
ダメよ!!
DNAマップは筋ジストロフィーの治療なんか使われないっ
それを元にクローンが造られちゃうの!
あのイカれた実験が始まっちゃうの
幼い頃の御坂の未熟な判断が招いた最悪の事態。
待って!
聞いてよっ
お願いだから......
御坂の身体に絶対能力者になるために捨石にされたミサカ達が血を流しながら腕や脚に絡み付いてきた。
なるほど
お姉さまが原因だったのですね
ミサカが造られたのも
ミサカが殺されるのも
全部、お姉さまがーー
ゼツと呼ばれる奇妙な人物により知らされた実験。
金縛りの術が解けた瞬間に御坂は無我夢中で走り始めた。まだ解けたばかりで身体の自由が完璧でない御坂は躓きながら足だけを前に出していく。
サソリもアイツのメンバー?
サソリも実験に加担していた?
この場で聴いた声や嗅いだ血の匂い、そしてサソリの弟子を自称するあたしのクローンの泣き出しそうな顔。
何が正しいのか解らない
判らない
分からない
最初は、自分の力で助けられる人が居るならと協力したDNAマップの提供を心底後悔した。
もはや、誰も頼れない
頼る価値もない
全ては自分が蒔いた種だ
暗闇が支配する学園都市の道を御坂は必死の形相で探していた。
設置されている柱時計がカーンカーンと乾く重たい音を鳴らして午後9時を告げている。
かくれんぼをしよう
実験場所を割り出して、実験を止めることが出来れば......この子の命は助かる
「はあはあはあー!もう!」
路地裏に入り、必死に自分の影を探したが見つかることはなかった。
御坂は、路地裏から這い出ると人通りが疎らな道を全力疾走で駆け下りた。
見つけなければあの子は死ぬ......
いや、もっとたくさんのあたしが死ぬ
これがこのゲームの不条理なパラメータ設定だった。
息を切らしながら、病院の前で感じた感応現象に意識を集中させる。
極度の緊張で御坂はお腹を抑えて、大きなビルに片手を当てると嘔吐した。
胃が捻じ切れそうな衝撃と罪の意識にフラフラしながら、吐き終わると身体が異様に冷たくなっているのを感じて震えた。
あたしのせいだ......
あたしが......
何故か小さい頃の事を思い出した。
小さい頃
あたしが泣くような事は、眠っている間にママが全部解決してくれた
今行われている実験(ゲーム)もあの日の出来事も全部悪い夢で
目が覚めたらなかった事になればいいのに......
分かっている
現実は甘くない
何でも解決してくれるママはここにはいない
困った時だけ神頼みしても奇跡が起きる訳じゃない
泣き叫んでいたら、それを聞いて
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