第58話 最低
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る人がいるだけでも......マシってとこかしら......ね」
『嘘じゃねーよ......紛れもなくお前は被害者だ!』
「な......に?」
『お前はオレ達にどうして欲しい?言え』
「!!......うぐっ......えぐ......たす......けて。助けてサソリ!」
『......』
「早くしないとあの子が殺されるわ......お願い」
大粒の涙を流しながら御坂はサソリに懇願した。堰を切ったかのように崩れ落ちる御坂。
『良く言った御坂......湾内に代われ』
「うん」
震える手で湾内に携帯電話を返却した。
「御坂さん......はい、代わりましたわ。はい」
携帯電話を通して会話をする湾内とサソリの横では子供のように泣きじゃくる御坂を心配そうに泡浮が背中を撫でて、子猫が御坂の膝に前脚を乗せて純心な瞳で見上げていた。
「御坂さん。独りじゃありませんわ......サソリさんも白井さんも、私達も居ます。御坂さんより力はありませんが友人が困っているのは見過ごせませんわ」
「ごめん......なさい」
両手で顔を塞いで、嗚咽混じりに謝罪する御坂。
命は決して軽いものではない。
文面で何度も引用され、擦り切れたような言葉だが、改めて......いや、その重さを知ったように感じた。
人は人の判断で簡単に死んでしまう。
分かっているようで理解していなかった。
「御坂さん!サソリさんからその実験の場所を教えて貰いましたわ!」
湾内が携帯電話を折り畳みながらポケットへとしまう。
「ほ......本当!?」
「はい!サソリさん達が来るまで時間を稼いで欲しいそうです」
御坂は涙で泣き腫らした目を拭いながら湾内に手を出されて、掴み立ち上がった。
御坂の靴には助けた黒猫がカリカリと登りたそうにちょこんと乗っていた。
泡浮は、御坂の足元に居る黒猫を抱き上げた。
「行きますわ!」
「うん......」
「御坂さん、大丈夫ですよ。サソリさんが動いています」
三人と一匹は、夜道を駆け出して湾内のナビに従い大通りを左に曲がった。
お願い......
間に合って!!
一度でも感じた、姉妹としての家族の感覚を携えて御坂は悪魔の実験場を目指す。
******
ミサカが叩き潰され、重厚な貨物列車の残骸を横目に見ながら、御坂は唇を噛み千切らんばかり悔しさで震えた。
間に合わなかったの......!
あれだけ必死に探したのに!
こんなに簡単に......
お姉さま
ミサカは大丈夫です
あれが最期の会話なんて......
苦しみを与えてしまった事の謝罪だってまだ......
イヤ
そんなのイヤ
ごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん
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