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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第58話 最低
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駆け付けてくれるヒーローなんていない

頭では分かっていても身体が急激な運動に付いてこれないようで心臓が破裂しそうな程強く拍動している。
酸っぱい胃液が逆流してきて、再び御坂は嘔吐した。
「はあはあ、こんな所で」
元々、感応現象はかなり微弱なものだ。
いくら脳波が同じといっても高度な発展を遂げた学園都市で特定のシグナルを探すのは不可能に近い。
範囲が絞れれば幾らか望みが出てくるが、学園都市全体では......

公衆電話のボックスに身体を預けて肩で息をした。
息が整ったら、全力疾走で学園都市をしらみ潰しで探すことになる。
しかし、こうして休んでいる間にも実験は行われている。

「......て。たすけてよ......」
心からの叫びだった。

ミャー
下を向いて視界を遮断している御坂の足元に黒い毛をした子猫が擦り寄ってきた。
あの時、木の枝から降りれなくなっていた子猫だ。

ネコ......?

すると、息を切らしながら湾内と泡浮が街灯に照らされながら憔悴している御坂に走り寄ってきた。
「こ、ここにいましたか御坂さん......探しましたわ」
「その子猫が御坂さんの場所まで案内してくれましたの」

御坂は涙を拭きながら、自分が泣いていた事に初めて気付いた。
「!?」
泡浮が黒猫を抱き上げる。
「何かあったのですの?」
湾内が質問するが、御坂は気丈に振る舞いながら足をフラフラさせながら横を通り過ぎようとしていく。

「何でもないわよ......それにもう門限よ.....早く戻りなさい」
御坂が泣き腫らした顔を隠すように暗闇に立っている。
「ま、待ってください。サソリさんに連絡をしてください」
「サソリに?」
「そうですわ!悩みがあるのなら独りで抱え込まないでくださいですの」

御坂は振り返りもせずにヤレヤレと言った感じで、首を横に振る。
「サソリね......よくよく考えてみるとアイツの事って良く分からないのよね」
嘘笑いをしながら、不均衡な表情で湾内達を見上げた。
「サソリさんが心配していましたわ!」
「裏でやましい事でもしているんじゃないかしら......人殺しとか」

湾内と泡浮の表情が強張っていくのが確認できた。
これは分かっている事柄だった。
いくら友達だと言ってもここまで言ってしまえば亀裂が入る。
最低の先輩だ。
サソリと出会った頃のようにバカやって、笑い合う日はもう絶望的に遠くなってしまった。

こんな事ばかりだ
何が正しいのか?
何が間違っているのか?

「み、御坂さん!」
湾内が大股で近くと、御坂の頬にビンタをした。
「湾内さん!?」
ミャー!
「ーー?!」
真っ赤に腫れる頬を摩りながら、バランスを崩した御坂は湾内の予期しない
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