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フロンティアを駆け抜けて
それぞれの夜
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姿を見せて、僕のこと……何とも思ってないのかな?」

 あれだけ容赦なく彼女のポケモンを痛めつけて自分には敵わないと思わせたはずだったのに。あのドラゴン使いの女のせいで調子が狂ってしまった。

「別にあの子のことなんてどうでもいい。だけど僕はパパの息子だ。だから……」

 母親を、自分を。そして無数の人々を従え頂点に君臨する父親。ジェムを支配しようとしたのは、彼のようになりたいという心の表れだった。それは自覚できる。

「……またそのうち、教えこんであげないとね」

 だけど、ダイバ自身が自分の意思でジェム自身への興味を持っていることは、まだわかっていない。ひっついたジェムを適当に寝かせたあと、彼も風呂場へと向かうのだった。一方その頃、件のドラゴン使いは――



 ジェムと戦ったドラゴン使い――ドラコ・ソフィアは特訓のため外に出たところを二体のゲッコウガに襲撃された。数多くのトレーナーが集うこの場所、それにゲッコウガ二体の統制のとれた動きからどこかにトレーナーが隠れていて指示を出しているのかは明白だったが、姿が見えない。こうしてドラコが吠える間にも、ゲッコウガ達は拳に冷気を纏って殴りかかりに来る。冷凍パンチだ。

「カイリュー、雷パンチ!メガリザードン、ドラゴンクロ―!」

 それを自分のドラゴンで迎撃するドラコ。雷を纏った掌底と二つの牙にゲッコウガの体が引き裂かれる。すると、ゲッコウガの体が影となって掻き消えた。影分身だ。もう一時間以上、影分身が突っ込んできては迎撃してを繰り返している。

「こそこそと……勝負するなら正々堂々と出てこい!!」

 言葉に答えるように再び二体のゲッコウガが出てくる。だがこれもまた分身だろう。辟易しながらも、そうである確証がない以上手は緩められない。

(だがおかしい。既にチルタリスとフライゴンに探させている。なのになぜ一向に見つからない!?)

 姿の見えない、手ごたえのない敵と戦い続けるのは普通の戦闘以上に消耗する。疲弊しているのを自覚し、焦りが募る。そしてまたゲッコウガの冷凍パンチが襲ってくる。

「何度も何度も……馬鹿の一つ覚えか!!破壊光線!」

 カイリューの破壊光線で二体とも薙ぎ払う。そう、この一時間相手は影分身に冷凍パンチを撃たせて来るだけ。それも途中からは全く同じタイミング、同じ動きで攻撃を仕掛けてきていた。

(ええい、一体……何が起こっている!私は、何と戦っているんだ?)

 ドラコの意識は、摩耗していく。それでも敵の攻撃は止まらず、何度も、何度も――



「やれやれ、やっと大人しくなりましたか。ご苦労、ゲッコウガ」

 数時間後、ドラコは路地で放心したように立ち尽くしていた。ドラゴンたちも
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