暁 〜小説投稿サイト〜
IS ーインフィニット・ストラトスー 〜英雄束ねし者〜
2話『大切な人』
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刀筋は簡単に四季に見切られて避けられると言う悪循環に陥っている事に気付いていない。

(……バカな……。あの屑が此処まで強くなるなんて!? ……一体あいつに何が有ったって言うんだ!? ……“原作”に居ないはずの三人目が居たのはまだ良い! ぼくと同じじゃなきゃ、イレギュラーの可能性だって有る! ぼくが居るんだから、1つや二つのズレが有っても可笑しくない! だけど……あの一夏の影に隠れているしか出来なかった屑が何でこんなに……っ!?)

 普段の笑顔を浮べる余裕も無くなった秋八は忌々しいと思いながら箒をたたき伏せる四季を睨みつけていた。此処で助けに入るのも簡単だが、心の中で思っている不安が無意識の中で秋八が動くことを拒否させていた。


 ―見下していた四季に叩きのめされたら―


 と言う考えが、秋八に箒に加勢すると言う判断の邪魔をしていた。だが、同時に試合で有る以上、乱入するのは卑怯だと言う考えだ。ただ、箒の動きを止めて箒の負けにすれば簡単に止められるだろうが。

「……いい加減に諦めたらどうだ? こっちは用が有るんだ」

「うるさいうるさい! 黙れ! そんな事より、なんだその動きは!? 篠ノ之流はどうした!?」

「あんな物に拘っても強くなれないから捨てた。今のオレの流儀は別だ」

 何の感慨も無く幼い日に学んでいた剣を否定した。……少なくとも、四季にとって篠ノ之流と言う剣は単なる数少ない味方であった束との繋がり以外にはなかった。寧ろ、箒への嫌悪感から嫌悪していると言ってもいい。

(ったく、この女のせいで完全に遅刻だ)

 何度も立ち上がってくる箒に対して四季は苛立ちを募らせていた。防具によって動きは悪くなるが防具によってダメージは軽減される。流石に普通では竹刀で防具を着けている相手を気絶させるなどと言うマネは出来ない。

(仕方ない、これ以上遅刻したくないし、あれで行くか)

 これ以上遅刻したら本気で詩乃に許して貰えないであろうと言う想像が四季に次の行動を決断させる。

 箒から距離を取り構えをとる。上段に構えた剣を振り下ろすよりも先に、四季の剣が箒の胴を捕える。

「“七星天剣流”……」

 その瞬間、何かが砕ける音と共に箒の体が反対側の道場の壁へと叩き付けられる。

「ガハッ!」

「“回羅旋斬”」

 振り切った四季の持つ竹刀が鍔と柄の部分を残して砕け散っている事から、先ほどの音が竹刀の砕け散った音だと言う事を物語っていた。
 壁に叩きつけられた箒の体が力なく道場の床に落ちる。立ち上がる様子がない事から、どうやら気絶しているのだろう。

「すみません、壊してしまった竹刀は後日弁償させて貰います」

「えっ? あっ……はい」

 そう言って壊した竹刀を部長ら
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