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テキはトモダチ
16. 命令 〜電〜
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げた。ロドニーさんの視線の先……私たちの真正面、執務室入り口のドアの前に、赤城さんが立っている。

「あなたは……!」
「またお会い出来て光栄だ」

 ロドニーさんを見る赤城さんの視線が鋭く、険しい。赤城さんの右手に力が入っているのは見ているだけで分かる。心持ち寒くなってきた。廊下の空気が深海棲艦との開戦前に似た匂いを帯び始めている……

「あ、あの……」
「……失礼した。イナズマ、司令官に拝謁を」
「は、はいなのです」
「うちの提督に何かご用ですか?」
「中将閣下からこの鎮守府に下された命令の詳細と、その証書をお持ちした」
「……」
「故に、司令官への拝謁を賜りたい」

 私を蚊帳の外にして、二人は視線を外すことなく会話をしている。なんだかとても寒い。冷たい空気が私の肌に直接突き刺さってくるようにピリピリと痛い。

「……わかりました。では私も同席します」
「構わん。こちらのイナズマはもちろん、貴公にも関係ある話だ」
「……電もなのです?」
「ああ。……イナズマ、拝謁を」
「は、はいなのです!」

 いやだ……この空気の中にいたくない……一刻も早くこのピリピリと冷たい空気の中から逃げ出したくて、急いで執務室のドアをノックした。その間私はロドニーさんのそばから離れ、私の代わりに赤城さんがロドニーさんのそばについていた。

「とんとん。司令官さん、電なのです」
「はいよー。どしたー?」

 まさか司令官さんの気の抜けた声に安心を感じる日が来るとは思わなかった……

「お客さんなのです」
「ほいほい? どなた?」
「永田町鎮守府のロドニーさんなのです」
「はいよー。入ってもらって」
「電と、赤城さんもいるのですが……」
「ついでに入っちゃって」

 司令官さんは、意外なほどすんなりとロドニーさんの入室を受け入れた。もうちょっと動揺すると思ったんだけど……まぁいいか。ドアノブに手をかけ、ノブを回す。

――フ……フフ……こ、こわ、怖いか?

 私のすぐそばに殺気をぶつけ合う開戦寸前の艦娘ふたりがいるためか……それとも他に理由があるのか、再生された天龍さんのスゴミは少々震えていた。

 鎧のガシャガシャという音を響かせながら執務室に入室するロドニーさんと、そのそばにぴったりくっついている赤城さんの二人。司令官さんは……

「お久しぶり。お元気?」
「貴公は私の突然の来訪にも驚かんのか」
「キモだけは据わってるのよ」
「相変わらず食えない男だ……そういうことにしておこう」

 やっぱり意外なほど冷静にロドニーさんと会話をしていた。確かにこの冷たくてピリピリと痛い空気の中で、それだけの軽口を叩けるの司令官さんは、キモが据わってると言えなくもない。

「……で、ご用事
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