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テキはトモダチ
16. 命令 〜電〜
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「は、はいなのです……」
「ドックの位置を失念したのでこちらから失礼する」

 その人が兜を脱いだ。キレイな金髪をとても丁寧に編みこんだ髪型をしていて、とてもキレイで端正な顔つきをしていた。夕日の中でも分かるほどにキレイなブルーの瞳はとても鋭く、同じ色の瞳の集積地さんとは正反対の印象をこちらに突き刺してくる眼差しだった。

「私はネルソン級戦艦二番艦ロドニーだ。中将閣下からの命令書をこちらの司令官に持ってきた」
「……ロドニーさん?」
「司令官に拝謁を賜りたい。あの、覇気のない目をした食えないお方だ」
「は、はいなのです」

 彼女は……ロドニーさんはそういい、鎧のガシャガシャという音を響かせながら演習場から上陸した。彼女の主機は、同じ艦娘のものとは思えないほど小さく、鎧のすね当てと靴の部分にピッタリとマッチしていた。

 私は何がなんだかよくわからず、とりあえず司令官さんの元にロドニーさんを案内することにした。その道中に思い出した。彼女は確か以前にもここを訪れていたはずだ。そして、赤城さんを挑発したとかいう人だ。

「貴公、名は?」
「は、はいなのです。駆逐艦の電です。よろしくお願いします」
「貴公がイナズマか。よろしく」
「はいなのです」

 執務室へと続く廊下を二人で歩く。ロドニーさんが一歩一歩歩くたび、鎧のガシャガシャという足音が廊下に鳴り響いている。……見慣れた廊下が、なんたか別の場所のように見えてきた。先入観があるためか、この鎮守府の建物全体がロドニーさんを威嚇しているように見えてくる。

「……」
「うう……」

 そしてロドニーさん自身も、その威嚇に対して決して黙ってはいない。口にこそ出してはいないが……その鋭い眼差しのせいか、この廊下からの威嚇に対して静かに、だが全力で応戦しているように見えた。

「……一つ、質問してよろしいか」
「は、はいなのです」
「以前に、この鎮守府では集積地棲姫を保護していると聞いたが」
「はいなのです。でも先日帰ったのです」
「そのようだ……いささか残念だな」

 確か以前にロドニーさんと中将さんが来た時には、集積地さんに関することの追求だったはず。ならば正直に答えてしまっても問題はないだろう……そう思いロドニーさんの顔を見上げた時だった。

「……まだおいでのようなら、ぜひとも一対一で斬り結びたかった」
「?」
「集積地棲姫は深海棲艦の中でもとりわけ重要な地位にあると聞く……そのような者であれば、さぞや良き敵となったであろう」

 私の背中に、嫌な冷たさが走った瞬間だった。その悪寒に気を取られていると、ロドニーさんの足が止まった。

「貴公のようにな。アカギ」

 真っ直ぐに前を見据えているロドニーさんはそう言い、口角を上
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