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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二話 別働隊指揮官 コルネリアス・ルッツ
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……」
「ローエングラム伯がああなった以上、焦る気持は理解できる。しかし戦場ではその焦りは味方を敗北に落としかねない」
「……」
「だから卿らの役割を予め決めておく。この戦いは何時、どのタイミングで予備を使うかで勝敗が決まるだろう。卿らの勇戦に期待している」
「閣下……、小官が浅慮でありました。お許しください」
カルナップは素直に謝罪すると腰を降ろした。ブラウヒッチ、アルトリンゲン、グリューネマン、ザウケン、グローテヴォール、いずれも表情から険しさが取れている。ようやくこれで戦えるだろう。シュタインメッツ少将が微かに目礼を送ってきた。
会議が終った後、ロイエンタール、ワーレン、ミッターマイヤー、ミュラーが俺の所に来た。
「上手く彼らをまとめる事が出来ました。お見事です」
「からかわんでくれ、ワーレン提督。柄にもないことをしたと思っているのだ」
「いや、本心から賞賛しております」
ワーレンの言葉に皆が笑った。
「まあ、彼らの気持は分かるからな。俺にもああいう時が有った、認められたいと思う時が……」
あの時、第五十七会議室に呼ばれなければ俺は未だに辺境にいるか、或いは何処かの艦隊の分艦隊司令官でもやっていただろう。
間違っても宇宙艦隊の正規艦隊司令官にはなっていなかったはずだ。認められたいと思っても誰も認めてくれなかったあの時、司令長官が俺達を認め機会をくれた。あの時の俺達と今の彼らと何処が違うのか? 何処も違いはしない……。
「彼らを予備に回す以上、正面戦力は敵より劣勢になる可能性がある。卿らには苦労をかける事になるが、宜しく頼む」
俺の言葉に僚友達はそれぞれの言葉で任せてくれと言ってきた。頼りになる男達だ、司令長官の言葉が思い出された。
“各艦隊司令官は皆信頼できる人物です。大丈夫、ルッツ提督は一人ではありません、もっと気持を楽にしてください”
その通りだ、俺は一人ではない。勝てるだろう、根拠は無いが何となくそう思えた……。
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