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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二話 別働隊指揮官 コルネリアス・ルッツ
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する者、英雄に憧れる者、そして英雄でありながらそれを否定する者……。ローエングラム伯を、司令長官を想うとどう捉えて良いのか……。
無理に分かろうとしないほうがいいのかもしれない。俺は英雄じゃない、それだけを覚えておけば良い。大事なのはその事を残念だとは思わない事だ。司令長官が作ろうとしているのは英雄など必要としない時代なのだから。
帝国暦 488年 1月28日 ルッツ艦隊旗艦 スキールニル コルネリアス・ルッツ
旗艦スキールニルの会議室には各艦隊から将官以上の士官が集まっていた。これからこの会議室で作戦会議が開かれる事になる。会議室に集まった士官はある者は興奮を、そして別な者は緊張を身に纏っている。なんとも形容しがたいざわめきにならないざわめきが会議室を支配していた。
ヴァレンシュタイン司令長官から連絡が有ってから四日、キフォイザー星系を制圧中だった別働隊は一旦作戦行動を中止。敵に出来るだけ気付かれないように情報収集を行なってきた。その結果、貴族連合軍の詳細な状況がほぼ分かった。
「定刻になった。会議を始めよう」
俺が会議の開始を告げると会議室を支配していたざわめきが消えた。皆が緊張に満ちた視線でこちらを見てくる。気圧されそうだ、腹に力を入れた。
「知っての通り、貴族連合軍が辺境星域の回復のために軍事行動を起した。兵力は約八万隻、指揮官はリッテンハイム侯爵。彼らは此処、キフォイザー星系の外縁部にまで接近している」
“リッテンハイム侯”、“八万隻”、彼方此方で囁くような声が聞こえる。既に分かっていた事のはずだが、それでもリッテンハイム侯の存在、八万隻の艦隊は重圧を感じさせるのだろう。
「敵の狙いは辺境星域の回復だが、具体的にはキフォイザー星系にあるガルミッシュ要塞を基点として辺境星域の回復を行なうだろう。当然だが我々の撃破も視野に入れているに違いない。我々はどう動くべきか、卿らの意見を聞きたい」
自分の考えは決まっている。しかし先ずは皆の意見を訊くべきだろう。十分に意見を言わせる、それによって気付いていなかった何かが見えてくるということもある。
「彼らをガルミッシュ要塞に合流させるのは面白くないな」
ワーレンの言葉に皆が頷く。そして幾分沈鬱な表情でミュラーが続いた。
「本隊同様、ガルミッシュ要塞に立て篭もられては厄介です。辺境星域の鎮定にも影響が出かねない」
ミュラーの言葉に皆が渋い表情をした。例え彼らが積極的な行動をせずともガルミッシュ要塞に八万隻もの艦隊がいてはこれまで制圧した星系も動揺しかねない。さらに彼らの撃破に時間がかかれば、それだけ辺境星域の平定が遅れる事になる。
「やはり彼らがガルミッシュ要塞に合流する前に戦いを挑むしかありますまい」
「奇襲は出来ん。
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