人形-マリオネット-part3/残酷な真実
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「これは、ハルナの手帳?」
それはハルナが持っていた、サイトたちの母校の生徒手帳だった。しっかりハルナの顔写真やクラス、誕生日などが記載されている。
近くにいるのか?
サイトは周囲を見渡す。その周辺には見覚えがあった。タニアリージュ・ロワイヤル座…ウェザリーたちからの頼みで舞台に立った場所だ。もしかしたら…そう思ってサイトは劇場内に入った。
その日は休館日だった。客は当然おらず、中は暗い。だが、舞台上だけはライトが少し照らされている。そもそも扉は鍵がかかっていなかった。まるで、サイトが来るのを待っていたかのように。
『誰かいるぜ』
ゼロがサイトに言う。見ると、確かに舞台の上に人がいる。一人ぽつんと、ライトに照らされた状態で誰かが立っていた。
目を凝らすと、それが誰なのかすぐにわかった。制服姿に長い黒髪の女の子。
「ハルナ!」
なぜ彼女がこんなところに?その疑問はあったが、そんなことはどうでもよかった。ようやく彼女を見つけ出すことができたサイトは、すぐに駆け出して舞台に駆け上がる。
ハルナは自分に背を向けていて、自分の呼びかけにもすぐにこたえる様子はなかった。だが構わず、サイトは彼女が無事だったことに安堵する。
「よかった。てっきり君が殺されたんじゃないかって…」
一歩ずつ近づくサイト。
しかし…
「……ある意味……そうかもね」
「………え?」
ハルナにしては、ずいぶんと声がおかしい気がする。どこか重苦しくて、ものすごくどす黒さを感じる。思わずサイトは足を止めた。
「あなたが地球から姿を消してから……ずっと会いたかった。会う方法がないか、ずっと探してきた。
そして、やっと会えた時は嬉しかった。また一緒にいられる…そう思ってた。
でも……遅かった」
「は、ハルナ…?」
「あなたは、この世界から出ることよりも、この世界を守ることを選んだ。それはつまり…あなたは地球も、私やあなたの家族を捨てたことになる」
「な、なにをいいだすんだ…!?」
いきなりわけのわからないことを言い出してきたハルナに、サイトはぎょっとする。
「俺がいつそんなこと言ったんだよ!俺、君と約束したじゃないか!」
「じゃあ、どうしてこの世界から私を連れ出さないの?この世界でなにが起ころうが、あたしたちには関係ないじゃない」
「それは…」
サイトは、一瞬そうかもしれないとも思った。そもそもこの世界は本来、無縁のままの世界であるはず。
「この世界のこと……見ただろ?世界的な危機に陥っても、自分のことばかりを考えて権力を振りかざして私服を肥やし、他者を蹴落として切り捨てる…醜い世界じゃないか。
どうして地球よりも、こんな世界のことを気にし続けるのさ?」
(…なんでそのことを…!?)
この子には、あまり心配をかけたくなかったこともあり、
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