人形-マリオネット-part2/狙われた少女
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恐怖を催す声だ。
しかし今、自分以外にこの部屋にいる者は誰もいない。
…おかしい。今は夜だし、就寝時間までそれほど時間は空いていない。それなのに、ここにいるのは自分だけだった。ルイズは?モンモランシーは?この二人が一緒に泊まるはずなのに、なんで誰もいない?
底知れない闇のような恐怖が、彼女の心を支配していく。
そして、彼女は窓ガラスに映る自分の顔を見る。それを見た瞬間…その恐怖は決定的なものとなった。
「……ッ」
思わず恐怖で声が出そうになった口を両手で覆ったハルナ。窓ガラスに映っていたのは、自分の顔だけではなかった。
そこに映っていたのは……
たまらなくなり、彼女は部屋を逃げるように飛び出した。
逃げなくちゃ…見えない何かが、自分を狙っている!
城の中は、いつの間にか就寝時間を過ぎたのか真っ暗闇で光が何一つ差してこなかった。
「平賀君…平賀君!」
彼女は真っ先に、UFZの男子組が泊まっているであろう。彼女はその部屋にいるサイトに助けを求めようと駆け出した。
しかし…
「はぁ…はぁ…!」
どうしてだろう。部屋はちゃんと記憶しているはずだというのに、どれほど走ってもたどり着けない。
「どうして…?」
確かにこの城は広くて、地球にいた頃の母校と比べると途方もない広さ。だが、ちゃんと記憶したとおりの道を正確にたどったし、間違えて覚えていたわけではない。そもそもアンリエッタが用意してくれた男子用の部屋と女子用の部屋は隣のご近所並みに近いので迷うはずがない。
だが…どれほど走っても闇に満ちた廊下を突っ走り続けているだけだった。
「な、なんで…平賀君たちの部屋に着かないの…?」
まるで、自分が暗闇の迷宮の中に入り込んだかのようだ。
「助けて…平賀君…っ!」
――――あいつが、本当に助けに来ると思ってるのかい?
「!」
思わず身をビクッとさせるハルナ。またあの声が聞こえてきた。
野太く力のある男の声と、女の声が同時に重なったような気味の悪い声だ。
――――あいつは、あの貴族の娘にご執心のようだ。呼んだところでくるわけがない
「あなたは…誰なの?私に一体なにをしてるの!?」
――――誰?それは…お前自身が良く知っているはずだろ?
「どういうこと…?」
思わず尋ね返すハルナだが、不気味な声はそれに答えない。
――――お前の中に渦巻く嫉妬・羨望…孤独…そして…
――――…あの娘への敵意と、自分の気持ちに振り向かないサイトへの怒りを感じる
「そ、そんなこと…ない!」
まるで心を見透かしてくるような声に対し、否定をするハルナ。
――――なぜ否定する?本当は願っているはずだ
――――こんな危険で時代遅れの世界のことなんて放っておいて、サイトと地球へ帰りた
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