人形-マリオネット-part2/狙われた少女
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ああ…」
背を向け、部屋に向かうルイズを、サイトは見送った。今は追わない方がいい。迷ってるうちは…なおさら。そんな気がした。
「…」
そんな二人の会話を、ハルナは壁の影から聞いていた。
ルイズがサイトを引き留めたのが気になって後を追ってきたのだ。自分も話に加わろうとしたが、どうしてか、会話の内容をたまたま耳にしてから、足がすくんでいた。
「まあその、なんだ。俺はお前の使い魔なんだから、これからも暫くはこの世界で頑張るさ。公爵さんたちからも釘を刺されたし」
その辺りまで聞いたところで、ハルナは二人の反対側に踵を返して歩き出した。
気がつけば二人の反対側に踵を返して歩き出し、用意された部屋に来ていた。
(平賀君…)
この世界のこと…いや、ルイズのことの方が気になっているのか。自分じゃなくて…
ウェザリーの舞台では、本来なら自分がヒロインを演じるはずだった。けど足を怪我して、代わりにルイズがヒロイン役を担ってくれた。本番ではできなかった分、サイトと二人でエピローグの一幕を演じた際、自分が改編した台詞を通して、何があっても自分を助けてくれる?とサイトに尋ねた。少し遊びの入った言い回しだが、気持ちは本気だ。
『本気だから』
あの言葉は、言われたときは告白かそれに近い言葉かと思った。けど、思えばサイトは鈍感な男だ。芝居がかったような言い回しで、あの時のハルナの言葉の裏に隠れた彼女の想いに気づかなくてもおかしくない。
今さっきのルイズとの会話を聞いて、ハルナは妖精亭で封じられた不安が再び沸き上がるのを感じた。
ハルナは、ポケットからサイトと一緒に読んでいた生徒手帳を取り出した。ページを開くと、そこには一枚の写真が入っていて、映っていたのは…。
地球にいた頃の、学生服姿のサイトだった。
この写真を見るたびに、不思議と勇気が湧いて、そして孤独感を感じなくなる。だが…今は…猛烈な不安が湧き上がり、拭えるはずの不安が消え去ってくれない。
「置いてかないでよ…」
写真の入った手帳をぎゅっと抱きしめる。サイトが約束を捨て、自分を置いてどこかへ行ってしまう…例えばルイズの下で生きる道を選んでしまうことへの恐れと、それによって自分に降りかかるであろう空虚な孤独感。
思わず弱音を吐いてしまうハルナ。
やっぱり、彼は自分の前からいなくなってしまうのか…?
彼が地球から消えた、あの日のように…
そのときだった。
―――お前は『人形』
「ッ!誰…!?」
―――私の作った、美しい人形だ
「…!!」
ぞっとするような悪寒が走った。
今の声は…なんだ?誰かが自分を見ているのか?わずかな明かりで照らされているだけで、ほとんどが暗いこの部屋でたった一人で聞くには、あまりに
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