第2章 第2話 素直な狂人
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うだがね、次は君が相手か?」
「そうよ!
ヤル…」
「ぐおおおぉぉぉ!!!」
その咆哮はメリー、タナトス、マリーの恩賞持ちを除いた全員の意識を刈り取り気絶させた。
空気が震え、メリーの詠唱も中断した。
その咆哮はまさに獣のそれと同等であった。
「旦那様」
「まだその状態でやるというのだがね」
「ルイス君…」
未だに止まらない血、普通なら失血死は確実な程のものをものともせずに未だに生きていて、あのような咆哮すらも可能なルイス。
「グラヴデクター」
重力の操作により体を浮かせ、超加速によりタナトスの顔面を残った左手で掴みその加速のまま壁に押さえ付けた。
「ぐっ!ぅ!ぐぅっ!」
抜け出そうと藻掻くが、重力の力と鬼の筋力に成す術なくねじ伏せられる。
ルイスの表情には、狂気の色はなくなった代わりに憤怒の色が濃くなり、タナトスの顔面を押さえる手に力が入りミシミシという軋む音をさせている。
「本当に…あれが、ルイス君なの?…」
レイの残虐的な行動に感銘を受けるマリーだが、今のルイスの狂気性には恐怖を感じるのみだった。
一方のメリーはその光景をただ見るだけだった。自分の役目はこの後の事だと理解しているからだろう。
「ぐ、ぐ…」
藻掻いていたタナトスだったが、段々と力が抜けていき次第に弱くなっていく。
「出してくれてありがとう」
遂にはタナトスの顔の骨を砕いた。骨が砕け、肉が抉られ、そこから血が流れルイスの腕と顔をその血で濡らした。血を受けたルイスの表情は怒りからまた一転し狂気へと変わる。
「あっははははは!!!!」
タナトスを重力で縛り付けて、最後に心臓部に手を当てる。
「エングナスルフル」
その瞬間タナトスが、タナトスという存在が消失した。
それと同時にルイスの意識も落ちた。それもその筈だろう、明らかな血液不足だ。むしろ未だに生きていることの方が不思議なものだろう。
「お疲れ様、旦那様」
駆け寄ったメリーが顔にかかった血を拭き取りながら優しく声を掛けた。メリーの役目、それは
「ねえ、マリー」
「は、はい…」
「他の屋敷の人達の事お願いしても大丈夫?」
「は、はい、大丈夫です」
「それじゃあ、よろしくね」
優しい声と、微笑みでマリーに頼んだ後
「今、楽にしてあげるわね旦那様」
裁縫に使うような細長い針を持ち、ルイスの心臓に突き刺す。メリーの役目はルイスを1度殺すことだ。
そして絶命が確定した時
「73」
怨霊の数は減り、ルイスの体は再生して傷を癒していく。
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精神世界内、未だにルイスはそこを歩いていた。宛は
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