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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
59.第九地獄・死中活界
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だ。アズの力とは恐らくそれ程に単純で、極めて個人的なものだ。

 しかし、そうして更に平均的な人間から見て遠い領域に踏み込んだくせして、こいつは相変わらずへらへら笑っている。その事実が喜ばしいのか否か、オーネストにはいまいち決めかねる。案外決める必要もないのかもしれないと思い直したオーネストは、色々と思案する自分が馬鹿らしくなってきた。

「なんか俺が寝てる間にめっちゃ風の加護みたいなの受けてるじゃん。昔やったゲームに出てくる風の精っぽいわー。なんだっけ、ジンだっけ?」
「せめて風神モドキと呼んでほしいもんだな、死神モドキ。妖精の加護如きではここには至れない。ついでに言うと、ジンが風の精霊なんて言い出すのは日本人くらいだ」
「そうなん?中東系で砂嵐的な感じだと思ってたんだけど」
「ジンってのは幽霊だの精霊だのといった実体の見えない………ああ、いや、もういい。無駄話は俺の悪い癖だ。この話の続きは酒場でやる」
「おっけい。そんじゃま都合よくパワーアップしたことだし、そろそろシメに掛かりますかね?」
「……大丈夫なんだろうな、テメェ。次に倒れたら俺もどうしようもないぞ?」

 じろりと睨む。そもそもオーネストの頭を冷やすためにアズが無茶しすぎて倒れたのだってオーネストからすれば不測に近い事態だった。次に戦闘中にギブとかほざくようならいっそ死んでいた方が面倒がなくていい。
 そんなオーネストの不信を知ってか知らずか、アズは暢気だ。

「いやぁ、俺も『大熱闘(インテンスヒート)』的なものに目覚めたかな?死にかけた方が調子が良くなったみたいだ。多分両足?げたら空前絶後の強さになると思うわ」
「目、後で治るんだろうな?それのまま帰ったらお前、メリージアが3日は泣くぞ」
「リージュちゃんの氷ならギリギリセーフかな?『静止』の性質が目の組織を必要以上に傷つけないし、後で引っこ抜いてポーション注いだら引っ付くと思う。あとはアレかな、片目が無くなってはいるんだけど霊能力的(スピリチュアル)な何かが上がってるみたいだから、反応速度とか距離感に関しては無問題だよ」
「このビックリ人間が……」
「お前にだけは絶対言われたくねーっつーの……」

 言い返されて、オーネストは「そうかもな」と呟いた。
 そして、その眼を再び獰猛な獣のように鋭く光らせる。
 視線の先にあるのは、不倶戴天の天災級怪物――黒天竜。

「リージュは温存する。ユグーは好きにやらせる。俺とお前はこの場で絶対に奴を殺す。それが俺達の勝利の最低ラインだ。これが出来なきゃ全滅だと思っておけ」
「あいよ」
「その他いろいろと不測の事態はありうるが、すべてその場で対処する」
「うむうむ」
「お前も死力を尽くせ。勝って生き延びるつもりなら、死ぬまでの散歩がてら、なんて半端な覚
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