15. あいつらの目的 〜赤城〜
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によるこの鎮守府の独自行動のようだ。この覇気のない提督が興味を持つことって一体何だろう……。
「それはそれとして……赤城は何しに来たの? 何か報告?」
いけない。青葉さんの件に気が行っていて、本来の目的を忘れるところだった。
「提督、ちょっとお時間よろしいですか?」
「いいよ。……大淀」
「はい?」
「とりあえずさ。青葉からもらったデータをざっくりとまとめてくれる?」
「はい。……では席を外した方がよろしいですか?」
「いや、そこまではしなくていい」
「了解しました」
「ありがと。……んじゃ赤城」
「はい」
心地よい大淀さんのタイピングの音を聞きながら、私は現在の鎮守府の状況に対する危惧……そして、それでも戦いたくないという自身の気持ちを、正直に話した。
「……」
提督は、いつになく真剣な面持ちで私の話を聞いていた。目を閉じて聞いているからだろうか。いつもの死んだ魚の眼差しも感じなかった。こんな提督の姿を見たのは初めてだった。
「……以上です」
「なるほど」
私がひとしきり話し終わったところで、提督は上着の第一ボタンを外し、帽子を脱いだ。
「赤城はさ」
「はい」
「たとえば今、出撃して深海棲艦を殲滅しろって言われたらどうする?」
「出撃します」
「本心は?」
「……やりたくありません」
素直に本心を言った。今、自分を偽ってはいけない。今の私は、深海棲艦と……もっといえば、同じ一航戦といえる子鬼さんと戦うなど考えられないことだった。
命令であれば行かざるを得ない。……しかし、もしも本心を言うことを許してくれるというのなら、私はもうあの人たちと戦いたくはない。
私の返答を聞いて、提督の表情が少し緩んだ気がした。ホッと一息ついたように顔の緊張が少しだけほぐれたようだった。
「だったらそれでいいと思うけどねぇ……」
いつもの接尾語『知らんけど』がないことに違和感を感じた。パチパチという大淀さんのタイピングの音が止む。提督と大淀さんの静かで優しい声が執務室内に響いた。
「……提督」
「シチュエーションもある程度まとめておいて」
「はい」
再びタイピングの音がパチパチとBGMとして響く。不快極まる中将たちの来訪のときとは異なり、今の彼女のタイピングは本当に耳に心地いい。そしてリズミカルなタイピングの音が室内の静かさを一層引き立てていた。
「赤城」
「はい」
「お前さんはさ。今の状況がなぜ問題だと思うの?」
「……私たちが艦娘だからです」
「なぜ艦娘だとダメなの?」
「私たちは深海棲艦と戦うことが仕事です。そのために生み出された存在です」
「……」
私は不安だ。普通の人間では対処しきれない存在である深海
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