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フロンティアを駆け抜けて
快進撃
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クチートには大したダメージはないが、これで一方的に二回ダメージを受けたことになる。この施設がいかに相手を攻撃したかを重視する以上、不利と言わざるを得ない。

「クー、右で火炎放射、左で十万ボルト!」
「避けなさい、レパルダス!」

 メガクチートの右顎に炎が、左顎に電気が蓄えられ放たれる。レパルダスはしゃなり、と音もたてずに避けた。だが二つの角から角度をつけて放たれた攻撃は交差し――爆発を起こす。レパルダスがそれに巻き込まれて吹き飛ばされた。

「やりますね……ではもう一度『ねこのて』です!」

 今度はレパルダスは思い切り助走を付けたかと思うと、一気にとびかかりメガクチートの反応を許さずにその前足で蹴り飛ばした。
レパルダスの特性は変化技を素早く放てる『悪戯心』であり、技『ねこのて』は仲間の技を扱える変化技である。つまりレパルダスは仲間の攻撃技を誰よりも早く扱えるのだ。それが速度の秘密だった。


「さあ下がりなさいレパルダス、多少のダメージは負いましたが後は逃げていれば私の勝ち……」
「……捕まえたわ」
「!」

 飛び退ろうとしたレパルダスの足に、クチートの大顎が食らいついていた。

「今よクー!じゃれつく!!」
 
 片方の顎が体を挟み、もう片方の顎で思い切りレパルダスの体を打ちつける。吹き飛ばされて衝撃を殺すことすら敵わず、暴力的な一撃にレパルダスは戦闘不能になった。

「あの攻撃を見切るとは、やりますね」
「『悪戯心』の戦術なら、お父様の得意技だもの」
「……ああ、そういえばあなたはチャンピオンの娘でしたか、なるほど」

ジェムの父親、サファイアのエースは特性『悪戯心』のメガジュペッタである。父親のバトルを誰よりも見ているジェムは当然その性質についても知っていた。『ねこのて』との複合は初めて見たが、二回も見れば見切れないことはない。

「では二体目……出てきなさい、三日月の下で歌う愛らしき獣!ニンフィア!」
「ニンフィア……なら、アイアンヘッド!」

 15秒のカウントが始まる。ニンフィアのタイプはフェアリー。メガクチートは鋼タイプを持つため弱点をつける分有利のはず。そう判断してメガクチートを突っ込ませるジェム。

「簡単には近づけさせませんよ!ニンフィア、ハイパーボイス!」
「フィアアアアアッ!!」

 ニンフィアが高い声で叫ぶと、部屋全体がビリビリと震える。激しい音波の攻撃を受けたメガクチートの足が止まる。だが音はいつまでも続くわけではない。声が止んだ隙を見計らってメガクチートは接近し、二つの大顎を噛みつくのではなく直接ぶつける!

「一発で決めるわ!」
「ニンフィア!」

 ニンフィアの体が鋼鉄に吹き飛ばされる
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