暁 〜小説投稿サイト〜
暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
16
[7/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、姫陛下に近しい人に思い知らされてしまった。
 これまで理不尽な経験はいっぱいしてきたけど…こんなの、理不尽だぁ……。

観念(かんねん)して身を任せる事ですね。 明日からは(つと)めが始まりますからね」
「あ、明日ですか…!?」
「明日からです。 嫌だと言ってもやってもらいますよ」

 そ、そんなの聞いてない…。
 僕…今日傭兵(ようへい)()めさせられて、新しいお仕事を押し付けられたばかりなんですよ?

 追々(おいおい)何かを言い渡されるだろうなぁ、と諦めていたけど…いきなりすぎる。

「明日には指示が届くでしょうが今ここで言っておくのですよ。 色々と指導して鍛えてやってから使ってやりたい所ですが……悠長(ゆうちょう)な事をしてると、それでまた殴り倒される事になりますよ」
「り、理不尽だぁ!」
「だから諦めろ、と言っているのですよ」
「そんなぁ〜……!」

 ちくせう、なんて日だ……!
 今日だけで色々いっぱいいっぱいで、早くも酔いが()めてしまいそうだ。

 僕は頭を抱えて(うずくま)り、どんよりと頭の中を雨模様に(くも)らせた。
 なんでこうなったのか、どこで間違ったのか、それを考えるよりも物事を処理しきれない頭は憂鬱(ゆううつ)になり、泥のように沈んでしまいたくなっていた。

「シクシクシク……」
「ん、んんっ、聞いてますか?」

 そんな自分の現実逃避も、水を差すように咳払(せきばら)いして意識を向けるように(うなが)された。

「まぁ、そこの所は重要じゃありません」
「もう止めてください、(いじ)めないでください」
「いいから聞きなさい。 従者(じゅうしゃ)になったからと言って何か特別な事をしろ、という話はすぐには無い。 姫陛下の相手をしながら少しずつ色んな事を覚えていかなければいけません」

 ですが、とロックスはここからが重要な部分だと言外(げんがい)に含めて続けた。

「君には注意してもらう事があります。 まずは…アレを見なさい」
「…上?」

 ロックスの人差し指が上を向いた。
 そこには階段の下の部分しかなかった。 体を(ひね)って視点を変えると…そこにはアレがいた。
 忘れてはいなかった…けれど、自棄酒(やけざけ)していてその頭から抜けていた存在が嫌でも思い出させられた。

「―――、――」

 変な人…もとい、仮面の人が二階の手摺(てす)りから顔を(のぞ)かせていたのだった。



―――。

「はぁ〜………」

 ややあって僕は泊まっている宿の部屋へと戻っていた。
 (あふ)れる溜め息は大きい。

 一つは、酔いが()めて財布の中身が(さび)
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ