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、姫陛下に近しい人に思い知らされてしまった。
これまで理不尽な経験はいっぱいしてきたけど…こんなの、理不尽だぁ……。
「観念して身を任せる事ですね。 明日からは務めが始まりますからね」
「あ、明日ですか…!?」
「明日からです。 嫌だと言ってもやってもらいますよ」
そ、そんなの聞いてない…。
僕…今日傭兵を辞めさせられて、新しいお仕事を押し付けられたばかりなんですよ?
追々何かを言い渡されるだろうなぁ、と諦めていたけど…いきなりすぎる。
「明日には指示が届くでしょうが今ここで言っておくのですよ。 色々と指導して鍛えてやってから使ってやりたい所ですが……悠長な事をしてると、それでまた殴り倒される事になりますよ」
「り、理不尽だぁ!」
「だから諦めろ、と言っているのですよ」
「そんなぁ〜……!」
ちくせう、なんて日だ……!
今日だけで色々いっぱいいっぱいで、早くも酔いが醒めてしまいそうだ。
僕は頭を抱えて蹲り、どんよりと頭の中を雨模様に曇らせた。
なんでこうなったのか、どこで間違ったのか、それを考えるよりも物事を処理しきれない頭は憂鬱になり、泥のように沈んでしまいたくなっていた。
「シクシクシク……」
「ん、んんっ、聞いてますか?」
そんな自分の現実逃避も、水を差すように咳払いして意識を向けるように促された。
「まぁ、そこの所は重要じゃありません」
「もう止めてください、苛めないでください」
「いいから聞きなさい。 従者になったからと言って何か特別な事をしろ、という話はすぐには無い。 姫陛下の相手をしながら少しずつ色んな事を覚えていかなければいけません」
ですが、とロックスはここからが重要な部分だと言外に含めて続けた。
「君には注意してもらう事があります。 まずは…アレを見なさい」
「…上?」
ロックスの人差し指が上を向いた。
そこには階段の下の部分しかなかった。 体を捻って視点を変えると…そこにはアレがいた。
忘れてはいなかった…けれど、自棄酒していてその頭から抜けていた存在が嫌でも思い出させられた。
「―――、――」
変な人…もとい、仮面の人が二階の手摺りから顔を覗かせていたのだった。
―――。
「はぁ〜………」
ややあって僕は泊まっている宿の部屋へと戻っていた。
溢れる溜め息は大きい。
一つは、酔いが覚めて財布の中身が寂し
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